ついにジダンがレアル・マドリードを退任した。
シーズン途中から言われていたことではあるが、いざジダンがマドリードを去るとなると一気に寂しい思いになる。
Official Announcement: Zinedine Zidane.#RealMadrid
— Real Madrid C.F. 🇬🇧🇺🇸 (@realmadriden) May 27, 2021
それからまもなくして、新監督にカルロ・アンチェロッティが就任することが正式に発表された。
View this post on Instagram
シーズンが終わって早々のビッグニュースにマドリディスタのみんなも正直驚いたに違いない。
確かに2020-2021シーズンはマドリーは無冠でシーズンを終了した。
ジダンは正直チームを去らなければならないほど何か重大なミスをしでかした訳ではないと思うが、それでもクラブは1年の契約を残してジダンを切ることを決断した。
いやジダンが去る事を決断したのかもしれない。
ということで今回は、マドリディスタ全員から愛されたジダンが監督として残した功績を書いていこうと思う。
監督として戻ってきたジネディーヌ・ジダンという男
現役時代はエレガントなプレーでマドリディスタを魅了したジネディーヌ・ジダン。
そのジダンが2016年1月にラファエル・ベニテスの後釜として監督に就任することが発表されるとマドリディスタの間ではレジェンドが戻ってきた!と大きな歓喜に包まれた。
その一方で、監督としての成功に疑問の目が向けられることもあったのも事実だった。
しかし、ジダンは2018年6月までの2年半の間に様々なタイトルを獲得。
「レアル・マドリードというチームに新しいアプローチが必要と感じた」
ということでマドリーにトロフィーを捧げた後にチームを去る事を決断した。
しかし、その後を継いだロペテギとソラーりが成績不振で解任されると、ペレス会長からの直接の電話もあり再度レアル・マドリードの監督に就任。
ジダン第二政権とも言われた2019年から2021年5月27日までマドリーの監督として役目を全うした。
ジダンはマドリディスタから愛されているだけではない。
選手からもすごく愛されている存在だった。
それはジダンが退任した後の選手たちの惜別のメッセージを見れば一目瞭然だ。
View this post on Instagram
「唯一無二に存在。あなたの人生に幸あれ。あなたはそれに値する。人生とファミリーを楽しもう!ビッグハグ」 by セルヒオ・ラモス
View this post on Instagram
「私に与えてくれた全てのものに感謝している。あなたという男と一緒に前進し成長する事ができた事を誇りに思い、光栄に思うよ。また会おう。」by カリム・ベンゼマ
View this post on Instagram
「10年前にマドリーに来て以来、あなたは単なるコーチではなく、メンターだった。あなたのおかげで私はプレーヤーとして、また一人の人間として成長する事ができた。あなたはこの黄金世代をトップに導く方法を知っていた(しかも何度も!)。フィールド内外でたくさんのアドバイスをしてくれたことに感謝してもしきれない。ボス、ありがとう!またすぐに会える事を願っているよ。」by ラファエル・ヴァラン
View this post on Instagram
「あなたのためにプレーして、あなたと一緒に勝てたことはとても光栄だ。あなたは最高だ。幸運を祈るよ。」by ルカ・モドリッチ
もちろん、これらのメッセージはほんの一部だ。
監督がチームを去る時にこれほどまで選手たちがメッセージを送るのは普通のことではない。
ロッカールームではジダンの言葉にみんなが耳を傾ける。
ジダンは選手を決して裏切らず、真実、事実のみをマドリーの選手たちに語りかけ、一人一人が持つエゴを威厳と知性でコントロールしてきた監督だ。
おそらくジダンの中でも苦悩や葛藤がかなりあったとは思うが、彼は決してみんなの前でその姿を見せない。
試合は選手とともに戦っているが、審判に対して過剰なリアクションはしないし、記者会見でも不必要なことは決して喋らない。
この好戦的ではないけどしたたかで冷静で慎ましい感じ、監督という立場を思わせない、そして人として真っ直ぐな姿がジダンだった。
そして、そのジダンが最後にクラブ、そしてサポーターに残していった手紙も衝撃的だった。
「親愛なるレアル・マドリードファンのみんなへ。白いシャツを着た最初の日から20年以上、私に愛を示してくれた。この手紙でみんなに別れを告げるとともに、退任する理由を説明したかった。監督業に疲れたわけではない。2018年5月に辞めたのは、2年半で数多くのトロフィーを手にした後、チームのために新しいアプローチが必要と感じたからだった。今、状況は変わった。私が退任するのは、クラブがもはや私に信頼を寄せておらず、中長期的に何かを築き上げるサポートをしてくれないと感じたからだ。フットボールを理解しているし、レアル・マドリードのようなクラブの要求も分かっている。タイトルがなければ去らなければならない。だが、今回の件でとても重要なことが忘れ去られていた。私が日々築き上げたもの、選手やスタッフを含めた150人との関係が忘れ去られていたのだ。我々が一緒に成し遂げてきたことに敬意を払ってほしい。最近数カ月でクラブや会長との関係が他の監督と少しだけ違ったものだったら良かった。もちろん特権など求めていないが、もう少し思い出してほしい。最近では、ビッグクラブの監督の任期は2シーズンで、それ以上はなかなかない。長く続けるためには人間関係が不可欠だ。それは金よりも、名声よりも、何よりも大切なもの。だからこそ、敗戦後の新聞で『次の試合で勝たなければ解雇される』との記事を読んで、とても傷ついた。意図的にメディアにリークされたメッセージがチームに悪影響を及ぼし、疑念や誤解を生んだ。私だけでなく、チーム全体が傷ついたんだ」 asより引用
契約1年を残してジダンが退任を選んだ理由は、内部での亀裂もあったようだ。
普段はメディアを賑わせるような事は決して言わないジダンがこの手紙をわざわざサポーターに向けて書くんだから、おそらくここに書いてある事は事実でしかないだろう。
それでもジダンは最後まで戦い続け、優勝の可能性の残る最終節を勝利に導いた。
ジダンの大事な時には何故か必ず勝ってしまうメンタリティーを見た気がする。
そして、ジダンはこの手紙を残してクラブを去っていった。
ジダンが監督として残した偉大な功績
ジダンが素晴らしい人格で選手からもサポーターからも愛されていた事が分かったところで、ジダンが残してくれた功績についてまとめてみた。
ジダンという男がここ数年でマドリーにもたらしてくれた偉業をここに残しておこう!
通算成績
クラブ | 試合数 | 勝利数 | 引き分け数 | 敗戦数 |
レアル・マドリード・カスティージャ | 57試合 | 26勝 | 17分 | 14敗 |
レアル・マドリード | 263試合 | 174勝 | 53分 | 36敗 |
ジダンが指揮した263試合という数字はレアル・マドリードの歴代監督の中でもなんと歴代2位の試合数。
1位はミゲル・ムニョス氏で605試合。
ムニョス氏は少し頭一つ抜けているが、ムニョス氏は14年間もの間指揮をしているだけにこればかりはしょうがない。
ちなみに3位はデル・ボスケの246試合だ。
獲得タイトル
大会名 | 獲得数 | シーズン |
ラ・リーガ | 2回 | 2016-17/2019-20 |
スーペルコパ・デ・エスパーニャ | 2回 | 2017/2019 |
UEFAチャンピオンズリーグ | 3回 | 2015-16/2016-17/2017-18 |
UEFAスーパーカップ | 2回 | 2016/2017 |
FIFAクラブワールドカップ | 2回 | 2016/2017 |
獲得タイトル数の合計11個はレアル・マドリードの監督としては歴代2位の記録。
1位は14個獲得しているミゲル・ムニョス氏。
ジダンマドリーで最も象徴的なのは、やはりUEFAチャンピオンズリーグ前人未到の3連覇を達成したことではないだろうか。
獲得個人タイトル
受賞名 | 獲得数 | シーズン |
オンズドール年間最優秀監督賞 | 2回 | 2017/2018 |
FIFA最優秀監督賞 | 1回 | 2017 |
ワールドサッカー選定世界最優秀監督賞 | 1回 | 2017 |
IFFHS世界クラブ最優秀監督 | 2回 | 2017/2018 |
ミゲル・ムニョス賞 | 1回 | 2019-2020 |
選手としても多数の個人タイトルを獲得してきたジダンだが監督としても7個の個人タイトルを獲得している。
特に2016-2017シーズンと2017-2018はレアル・マドリードが席巻したシーズンなだけにジダンもしっかり評価されている。
言わずもがな、監督でこれだけの個人タイトルを受賞できる監督はなかなかいない。
レアル・マドリードでも歴史に残る監督となった。