サッカーにはエンブレムというものがある。
エンブレムというものはチームのシンボル。
ほとんどのチームがユニフォームの左胸の位置にエンブレムを刺繍している。
「エンブレム」というものはいわば「盾」のようなもの。
あの有名なキャプテン・アメリカが投げたり身を守ったりしているあの盾のようなものだ。
欧州でも昔は戦争時代があり、領土をめぐって皆盾を持ち戦っていたその名残がスポーツにも流れ込んできた。
そして我らがレアル・マドリードにももちろん誇り高きエンブレムというものが存在する。
おそらくサッカーを知らない人でもどこかで見たことがある!と言うであろうあのエンブレムだ。
今回は、エンブレムについてあまりよく知らない、考えたことなかった!って人のために今回はレアル・マドリードのエンブレムの特徴と意味について書いていく。
エンブレム=盾である
エンブレムはなんとなくは見たことあるけど、よく見る機会なんてなかった!って人もいるだろう。
エンブレムというのはサッカークラブにとって非常に大事なもの。
それぞれのクラブの思いや歴史が詰まっているのがエンブレムだ。
欧州のサッカークラブではこのエンブレムには今でも非常にリスペクトが払われている。
選手もゴールを決めた時にエンブレムを指さしてアピールするシーンなんかもよく目にしたことがあるだろう。
それくらいエンブレムというものはそのクラブを象徴する大事なシンボル、クラブが発足したエリアの代表として敵と戦う、という誇りなのだ。
そう言われてみれば色々な欧州サッカーチームのエンブレムは盾っぽいなって思うのではないだろうか。
「盾」と検索してみれば、サッカーのエンブレムのようなものがたくさん出てくる。
しかし、日本ではエンブレムのイメージが欧州とは少し違う。
日本人にエンブレムってどういうイメージ?と聞くと、マークとかロゴという人に考える人は多いだろう。
まぁ言わんとすることは分かるが、歴史とかそういうことよりもサポーターの印象に残りやすいデザイン、という商業的なものがほとんど。
Jリーグチームのエンブレムなんかを見ていればそれは一目瞭然だ。
Jリーグのエンブレムには「盾」という概念はほとんどないからだ。
個人的にはエンブレムとして成立しているのは数チームしかない。
だからなんだって話なのだが、エンブレムはただのマークやデザインではなく「盾」という概念があってこそ。
歴史だけでなく、そのクラブにとっての色々な意味を持つということを言っておきたい。
レアル・マドリードのエンブレムの特徴と意味
我らがレアル・マドリードのエンブレムは上の写真の旗上に書かれているもの。
あまりにも有名すぎるエンブレムなのではないだろうか?
レアル・マドリードのエンブレムはシンプルではあるが色々な意味が込められている。
今回はそれらを簡単に紐解いていく。
レアル・マドリードのエンブレムの特徴を大きく分けると以下の通りだ。
- 模様
- ベースカラー
- 王冠
- 青いタスキ
それでは1つずつ説明していく。
模様
まず最初にレアル・マドリードのエンブレムの模様についてだが、模様といえばエンブレムを作成する際に一番頭を悩ませる部分なのではないだろうか。
そんなレアル・マドリードのエンブレムにゴールドであしらわれている模様部分はMadrid Football Club(マドリード・フットボール・クラブ)をベースとしているMFC と書かれている。
このマドリード・フットボール・クラブというものは、1902年に誕生した我らがレアル・マドリードの最初のチーム名。
要は、レアル・マドリードの模様はチーム名の頭文字を取っただけというかなりシンプルなデザインなのだ。
これだけシンプルなデザインは他のクラブと比べてもなかなかない。
エンブレムはチームのシンボルということでめちゃくちゃカッコいいものにしようと思うのは普通だと思うが、これぞまさに「シンプル・イズ・ザ・ベスト」ってやつだろう。
模様はMadrid Football Clubを基調にしているということだが
「じゃあなんでFがそんな小さいの?」
「大→小にいくのがしっくりくるのになんでMCFの順なの!?MFCでしょ!!」
って言いたくなる人もいるだろう。
ズバリお答えしよう。
スペイン語ではMadrid Club de Futbolだからだ。
MCFの順に大きいという理由も納得だろう。
レアル・マドリードの詳しい歴史については下の記事からどうぞ。
今や世界的ビッグクラブとなった我らがレアル・マドリード。 サッカーをしていない人でも名前を聞いたことがあるほどのチームで、日本でもかなりの人気を誇っている。 特に、あのベッカムやジダンなどが在籍していた時代の銀河系軍団という呼称[…]
ベースカラー
そしてレアル・マドリードのエンブレムのベースカラーは白で作られている。
これはマドリディスタであればエンブレムのベースが「白」である理由は分かるだろう。
そう…
1stチームカラーだ。
我らがレアル・マドリードのホームユニフォームは白を基調としたデザインで作られているのはもうご存知だろう。
レアル・マドリードはエル・ブランコ(白い巨人)・ロスブランコス(白い巨人達)・メレンゲなどなど、「白」を連想させる様々な愛称で呼ばれているくらいだ。
そもそもなぜレアル・マドリードが白を基調としたチームになったか、知っている人は少ないだろう。
クラブが発足した1902年、イングランドでトップに君臨していた最強のアマチュアクラブ、コリンシャンFCが白を基調としたユニフォームを使用していたから、だそうだ。
レアル・マドリードの「最強になりたい」という思いも感じ取れる。
そして、時代柄なのか白い布が一番手に入りやすかったから、というのもあるようだ。
当時一番手に入りやすい白が当時最強のチームのベースカラーとなれば真似する他ないだろう。
ちなみに、他のチームと区別をつけるために創設時のみ青いタスキをかけながら試合に出場していたそうだ。
まぁビブスは当時ないだろうけど、なぜタスキなのかは不明だ。
王冠
そして、円形のエンブレムの上に乗っかっている王冠はレアル・マドリードのエンブレムの大きな特徴の1つだ。
この王冠はレアル・マドリードにとってとても重要な部分。
というのも、1920年にサッカー大好き国王アルフォンソ13世から「王室の・国王の」を意味する「レアル」の称号を授かった。
そこで、クラブ名が「マドリードフットボールクラブ」から「レアル・マドリード・フットボール・クラブ」に変更され、エンブレムにはレアルを意味する王冠が加えられたのだ。
つまり、王冠がエンブレムについているクラブは全てレアルという名前がクラブ名に入っている。
我々日本人はレアル・マドリードのことをよく「レアル」というが、実はスペインでは「レアル」は同じくラ・リーガ1部に所属しているレアル・ソシエダのことを指す。
レアル・ソシエダは1910年にアルフォンソ13世からレアルの称号を授かっており、「レアル」がついた最初のクラブ。
その為レアル・マドリードのことを「レアル」という現地人はいないのだ。
もちろん、ソシエダのエンブレムにも王冠が乗っかっている。
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青いタスキ
そして、創設時に他のチームとの差別化を図るためにかけていた青いタスキはレアル・マドリードのエンブレムにも落とし込まれている。
中央の青い斜めに入っている線がそれだ。
最初にそのタスキが加えられたのは1931年のこと。
王政だったスペインが共和制に移行することになり、王冠はエンブレムから取り除かなければならなくなった。
そしてクラブ名は「レアル・マドリード・フットボールクラブ」から「マドリード・フットボールクラブ」に戻す必要があった。
このような事実はスペインという国の歴史的背景を感じてしまう。
ということで、クラブは王冠を取り除く代わりに国章に書かれているライオンの色である紫の斜めの線を加えることにしたのだ。
しかし、1941年にはスペイン内戦が終了。
王冠は復活し、クラブ名も「レアル・マドリード・フットボールクラブ」にカムバック。
紫色だった斜めの線を青いタスキに変更し、MCFの文字が黄色に変更された。
それ以降はエンブレムも胸に刺繍されるようになり、2001年に文字が太くなったりする小さな変更があり今に至っている。
シンプルなデザインに歴史が詰まったエンブレム
レアル・マドリードのエンブレムの特徴や意味についてここまで書いてきたが如何だっただろうか?
レアル・マドリードの一見シンプルなように見えるエンブレムにも様々な歴史が詰まっていることがお分かりいただけただろう。
- MCFはMadrid Football Clubの略(スペイン語表記でMadrid Club de Futbol)
- ベースカラーは1stチームカラーの白
- 王冠はレアルの称号をアルフォンソ13世から授与
- 青いタスキは創設時につけていた名残
当時最強だったクラブを真似したように、今の時代の最強クラブとしてレアル・マドリードはサッカー界で存在感を一際放っている。
実際、エル・ブランコを意識しているサッカークラブはすでに存在している。
現在プレミアリーグで戦っているリーズ・ユナイテッドは、1960年代前半にチャンピオンズカップ(現在のチャンピオンズリーグ)5連覇を成し遂げていたエル・ブランコを意識して青と金色だったユニフォームを白に統一した。
それだけではなく、現在サッカーリーグが普及してきているアメリカのMLSに所属しているレアル・ソルトレイクはレアル・マドリードを意識して名前がつけられたと言われている。
もちろんユニフォームは白である。
このように、我らがレアル・マドリードはこの「盾」を持ち、クラブに誇りを持って戦っている。
レアル・マドリードは常に勝者でなければならない。
このエンブレムの歴史に恥を欠かせないようにこれからも頂点に君臨し続けてほしい。
もちろん、我々マドリディスタはその栄光を見届ける必要がある。
Hala Madrid!