我らがレアル・マドリードで不動の左サイドバックとして長年スタメンを張ってきたマルセロ。
そんな超攻撃的なスタイルでチームを引っ張ってきたセレソンを脅かす存在がいる。
それがフェルランド・メンディだ。
2019年にリヨンからエル・ブランコの大門を叩いてきたメンディは移籍金4800万ユーロという破格の金額でレアルの一員になった。
今回はそんなレアルが喉から手が出るほど欲しがった注目の若手選手フェルランド・メンディのプレースタイルや特徴について解説していきたい。
フェルランド・メンディのプロフィール
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本名 | フェルランド・メンディ(Ferland Mendy) |
国籍 | フランス/セネガル |
生年月日 | 1995年6月8日(26歳) |
身長 | 180cm |
体重 | 78kg |
利き足 | 左 |
ポジション | DF(左サイドバック) |
背番号 | クラブ:23/代表:23 |
着用スパイク | adidas Predator Freak |
経歴 | ル・アーブル(2015-2017)/リヨン(2017-2019)/レアル・マドリード(2019-) |
年俸 | €2,080,000(2億6208万円)/週給€40,000(504万) |
彗星の如くスペインの名門レアル・マドリードに加入してきたフランス出身の左サイドバック、ファルラン・メンディ。
今や一部のメディアやファンからは今まで沢山レアルの勝利に貢献してきたマルセロよりもメンディをスタメンで使うべきだという声が上がっている。
選手生命が危ぶまれたエリート
そんなメンディは1995年にフランスに移住したセネガル人の両親の元で生まれ、7歳の時にEcquevilly EFCというチームでサッカーのキャリアをスタートさせた。
その2年後の9歳の時にはあのフランスの名門パリ・サンジェルマンFCの下部組織に加入しメキメキと生まれ持った身体能力とセンスで実力をつけていった。
だが、メンディのサッカー人生は他の選手には中々ない人生だ。
父親を11歳の時に無くしてしまい、途方に暮れるメンディをさらに追い詰める出来事が起きてしまう。
それは、メンディが14歳の時にサッカー選手生命を危惧するような重傷を腰に負ってしまったのだ。
腰の関節炎により車椅子での生活をしなくてはならなくなってしまったメンディー。
医師からは「サッカーはもうできない」とまで言われてしまっていた。
1年間はサッカーをする事ができず、それでもメンディはリハビリを必死に続け、その1年後にはなんと復活して見せた。
PSGから追い出された後に掴んだ栄光
しかし、その影響でPSGでの立場は危ういものになった。
というのもこの頃のPSGの下部組織にはキングスレイ・コマン(バイエルン・ミュンヘン)、ムサ・デンベレ(バルセロナ)、プレスネル・キンペンベ(PSG)など今トップクラブで中心になり活躍しているタレントばかりだったのだ。
そんなチームで約1年プレーできていなかった選手がすんなりチームに戻れるはずもない。
結果、PSGを退団したメンディは4部のマントワというチームに移籍をし、マントワでの活躍がスカウトの目に留まり2013年にル・アーブルAC(フランス2部リーグ・リーグドゥ)に移籍した。
このル・アーブルACは、あのポール・ポグバやラサナ・ディアラ、ディミトリ・パイェなどを輩出していて育成に定評のあるチーム。
そんなフランス代表選手を数多く輩出しているチームのアンダーカテゴリーで経験を積むと、2015年にはFCソショー戦でトップチームデビューを果たした。
徐々にトップチームでの出場機会が増え始めると、2016-2017シーズンでは公式戦38試合に出場し2ゴール5アシストを記録するなど、左サイドバックのスタメンとして存在感を示した。
そしてこの2部で実力を示している若手選手に目をつけたのが、フランスの強豪でもあるオリンピック・リヨンだ。
2017年に5年契約の移籍金500万ユーロで加入すると、加入1年目から左サイドバックのスタメンとして定着し27試合出場4アシストの活躍。
2018-2019シーズンでは公式戦44試合に出場し3ゴール3アシストを記録した。
フランス1部リーグアンのDFの中で2位のドリブル成功率を誇るなど持っている攻撃センスを遺憾無く発揮し、2018年には怪我で代表を辞退したバンジャミン・メンディの代わりとしてフランス代表に初招集され、ウルグアイ戦で代表デビューした。
不動だったマルセロよりもメンディを選んだジダン
強豪リヨンの左サイドバックとして存在感を示したメンディは、我らがレアル・マドリードからも目をつけられることになる。
2019年6月に6年契約の移籍金4800万ユーロ+500万ユーロのボーナスという驚異的な金額でエル・ブランコへの移籍が発表された。
この移籍が発表された後、メンディは、「もうプレーできないと医者に言われてから車椅子で生活をし、歩けるようになるまで半年もかかった。そして今レアル・マドリードにいる。本当に信じられない」とコメントを残していて、スペインの名門でプレーできること、そして同胞のジダンの元でプレーできることに非常に感動していた。
正直、エル・ブランコに移籍してくるまで僕はフェルランド・メンディの存在を知らなかった。
というのも、マンチェスターシティに移籍したバンジャマン・メンディの事は知っていたが、同じ名前のせいかマンCからまた移籍したのかと思ったくらいだ。
リヨンからの移籍と聞いてびっくりした。
フランス代表もバンジャマン・メンディの代わりに招集されているし、同じ左利きだしってことで特徴も知らなかった。
けど、今レアルの試合を見ていて思うのは、このフェルランド・メンディは確実に今後レアルの左サイドバックとしてチームの中心になれる選手だということだ。
実際、移籍して半年も経たないくらいでジダン監督の信頼を勝ち取った。
あの「レアルの左サイドバックといえば」のマルセロをベンチに追いやったのだ。
加入1年目からリーグ戦25試合に出場し1得点を記録し間違いなくリーグ制覇に貢献した。
マルセロはもう32歳になりいわゆるベテランの域に入ってきた。
レアルとしては高齢化しているチームをスムーズに若返りを図るためにも後継者探しは必死なはずだが、とりあえず左サイドバックは安心して大丈夫そうだ。
とは言っても、確かにマルセロは以前ほどのプレーの質を見せてくれてはいないが、それでもまだまだ現役のトッププレイヤーだ。
だが、その背中を見ながらメンディはいつでもバトンタッチできるように成長してもらいたいものである。
そしてあのマルセロが簡単にスタメンを譲るはずがない。
これからのレアルの左サイドバックは色んな意味で楽しみだ。
フェルランド・メンディが使用中のスパイク【アディダス プレデター フリーク】
そんなフェルランド・メンディが着用しているのがadidasのプレデターフリークLow。
このスパイクはなんと言ってもアッパー表面に搭載されている「デーモンスキン」が特徴の1つで、このイボイボが高精度のボールコントロールとボールに強い回転をかけることに貢献してくれる。
収縮性と圧着性が高い素材を採用している履き口は足とスパイクががっちりとホールドされる履き心地を提供し、軽量化されたスプリントフレームがグリップ性を高めてくれるのでスプリントにも効果を発揮してくれる。
メンディはサイドバックという事もありクロスをあげる機会も多い選手なだけにデーモンスキンの恩恵を受けることの多い選手と言える。
また激しい上下動を繰り返すメンディにとってスプリントフレームによるグリップ力が気に入っているのだろう。
フェルランド・メンディのプレースタイル
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選手生命の危機から立ち直り、今では我らがレアル・マドリードで信頼を得ている注目の若手選手フェルランド・メンディ。
マルセロからスタメンの座を奪うまでに成長している25歳はどのような選手なのか。
フェルランド・メンディのプレースタイルや特徴について書いていく。
メンディを語る上で欠かせないポイントは以下の通りだ。
- 快足ドリブル
- チャンスメイク力
- 身体能力を生かした守備
それでは1つずつ解説していく。
快足ドリブル
まず最初のフェルランドメンディについて語る上で欠かせないのがスピードだ。
メンディはとにかく足が速い。
ある記録によると時速34.3kmのスピード。
これは足が速い選手で有名な元同僚で現在トッテナムでプレーしているガレス・ベイルよりも速い記録を残している。
メンディはこの生まれ持った快足を生かしたドリブルが持ち味の選手だ。
メンディは難しいフェイントなどはそこまで多い選手ではなく、どっちかと言ったら大きめのタッチを使いながらスピードで相手を抜き去るタイプのドリブルをする選手だ。
なので前方に大きなスペースがあったら、ポンっと蹴ってどんどん相手の深い陣地まで切り込んでいく。
また、初速が非常に速い選手なので、止まっている状態から一気にギアを上げて相手を置き去りにしていくドリブルもメンディの武器。
もちろんメンディは縦に突破してクロスを上げるだけの選手ではない。
左サイドから中に切り込んでいくドリブルもメンディの武器で、相手DFは縦ばかりを警戒しているといつの間にか中に切り込まれてしまう。
彼のドリブルのタッチはスピードに乗っている時も独特なリズムのタッチがある。
簡単に足を出すと、ポーンっとスペースにボールを出して剥がされてしまうので、相手は迂闊に飛び込めないのだ。
チャンスメイク力
そしてメンディはただスピードがあるサイドバックではない。
チームの決定機を作り出す事ができるチャンスメイク力もメンディの魅力の一つだ。
特にメンディのパス精度は一目置く価値がある。
というのも、メンディは味方の場所にピンポイントでパスを送ることが出来る。
それはつまり、センタリングで質の高いボールをボックス内に出すことが出来るということを意味する。
レアルに加入してからも鋭いアーリークロスでベンゼマの得点を何点もお膳立てしてきた。
また、後方から前線へのロングフィードやスルーパスも目を見張るものがある。
左サイドバックというポジションながら、パス1つで状況を変えてチャンスを作ることができる選手なのだ。
また、右足のキックもよく使う選手だ。
というのも左利きの選手は右足が苦手な選手が多い。
ライバル的立ち位置になるマルセロも右足を使いさえすればうまく使いこなすが、ドリブルもパスもよっぽどのことがない限り左足を使う。
しかしメンディは中にドリブルで切り込んだら迷うことなく右足でパスやシュートを選択する。
しかもそれがまた正確だ。
左足のクロスを警戒されているとみるや、キックフェイントで右足に持ち替えて右でクロスをあげる。
もちろん、スルーパスやロングパスも右足でも蹴れる。
そのため相手からしたらかなり守りづらいサイドバックだと思う。
左足をケアしていたら右足でパスを出される。
縦のドリブルをケアしていたら中に切り込まれる。
いざという場面でのクロスや味方との連携ではまだマルセロに劣る部分もあると個人的に思っているが、これから経験をどんどん積んでいけば間違いなく脅威になるに違いない。
身体能力を生かした守備
そしてメンディを語る上で絶対に欠かしてはいけないのがメンディの守備力だ。
マルセロをベンチに追いやったメインの理由でもある。
マルセロとメンディの違いは守備の安定感。
メンディは持ち前のスピードや強靭なフィジカルという身体能力を生かして左サイドの攻撃を封じ込めることが出来る選手だ。
まず、スピードがあるFWに勝負を挑まれても負けることはほぼない。
これは彼の爆発的なスピードという身体能力が活きている。
先ほども言った通り、ベイルよりも足が速い。
ベイルよりも足が速い選手などアタッカーとはいえど数は少ない。
試合を見ていて彼の抱いた印象は絶対に裏を取らせないということ。
一対一でも相手の出方を見て縦への突破は絶対に許していない。
そして、メンディはサイドからのクロスを簡単に上げさせない。
クロスを上げる前に相手のところまで猛ダッシュして必ず足に当てる。
彼の動画集を見ていても相手は面白いくらいにメンディにクロスを封じ込められている。
これは動画集だからとかではなくて僕が実際に試合を見ていても思わず「サンキューメンディー!」と言ってしまうくらいだ。
当たり前だがクロスが上がらないだけで失点のリスクは減る。
小さなことだがこれを出来る選手がチームにいるのはかなりデカい。
それはセルヒオ・ラモスもラファエル・ヴァランも「サンキューメンディー!」と思っているはずだ。
そして、メンディは相手が隙を見せればボールを突っついてボールロストをさせることが出来る選手。
見ていて思うんだが、メンディは足がめっちゃ長い。
なので、相手からしたらいつもの距離感でトラップしたりドリブルしたりすると突っつかれてしまう。
触られない距離だと思っていたら、長い足がスッと伸びてくる感覚なのではないかと思う。
サイドライン際ではボールを突っつくことでプレーを切ることが出来るし、その他のエリアでも突っつくことで味方選手が拾ってくれて一気に攻撃に転じることもできる。
地味な仕事ではあるが、メンディにはこれがある。
またマルセロとの大きな違いは、フィジカルを生かした守備ができるということだ。
どっちかっていうとマルセロは柔軟に相手をいなしながら守備をするイメージじゃないだろうか。
がっつり体をぶつけて奪取するというよりは、先にボールに触って相手をいなして交わしていくイメージ。
ところがメンディはその逆だ。
体をガツン!とぶつけてボールと相手の間に体を入れる。
基本と言えば基本だが、メンディはただでさえフィジカルに恵まれている。
プロ選手がぶつかられてよろけるシーンも何回も見るのはなんとも気持ちがいい。
基本に忠実な選手であるが故に、自陣でリスクを背負ったプレーをするマルセロと比べられるのはなんら不思議ではないかもしれない。
これからの左サイドバック争いに注目!
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今や監督のみならずファンの信頼も勝ち得てきているフェルランド・メンディ。
積極的に攻撃に参加してチャンスメイクしたかと思えば、自分の持ち場である左サイドバックの守備は決して怠らない、そんな選手だ。
メンディがいることによってレアル・マドリードは良い影響がある。
それはセンターバックのセルヒオ・ラモスがサイドに釣り出されないということだ。
これはどういうことかというと、これまでのレアルはマルセロが超攻撃的なサイドバックのため、左サイドバックの裏のスペースを狙われていた。
だが、セルヒオ・ラモスは持ち前のスピードと予測能力でマルセロの開けたスペースをしっかりとカバーリングしていた。
しかし、メンディは攻撃をしたとしても守備で左サイドバックのスペースを作らない。
つまり、セルヒオ・ラモスが最終ラインの真ん中で集中して守備することが出来るので、ラモスの守備の負担が確実に減っているのだ。
これはマルセロには申し訳ないが、マルセロが出場した時よりもメンディが出場した試合の方が失点が少ないというのは頷ける。
正直言って、マルセロよりも攻撃力や創造性はまだ敵わないが、メンディはスピード・パワー・守備の安定性という部分では勝っている。
監督としてはどっちを起用するかは贅沢な悩みであるのは間違いない。
だが、失点が続いていることやチームの若返りのことなどを考えるとメンディを起用し経験を積ませてエル・ブランコの左サイドバックとして成長して欲しいものだ。
マルセロをベンチに追いやったフェルランド・メンディをこれからも注目していきたい。