かつて我らがレアル・マドリードに3シーズン在籍し背番号10を背負っていたブラジルのドリブルキング、ロビーニョ。
彼の代名詞は圧倒的なスピードとドリブルテクニックだった。
それから約10年、レアル・マドリードはブラジルからまた新たなドリブルキングの加入を正式発表した。
それが今シーズンから20番を背負うヴィニシウス・ジュニオールだ。
そのタレントぶりに欧州のビッグクラブがこぞって移籍競争に参入した逸材でもあるヴィニシウスとはどんなプレイヤーなのか?
今回は「今世紀最高の宝石」とも称されているヴィニシウス・ジュニオールのプレースタイルや特徴についてとことん解説していく。
ヴィニシウス・ジュニオールのプロフィール
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本名 | ヴィニシウス・ジョゼ・パイション・デ・オリヴェイラ・ジュニオール(Vinícius José Paixão de Oliveira Júnior) |
国籍 | ブラジル |
生年月日 | 2000年7月12日(21歳) |
身長 | 176cm |
体重 | 62kg |
利き足 | 右 |
ポジション | FW(WG) |
背番号 | クラブ:20/代表:- |
着用スパイク | Nike Mercurial Vapor XIV |
経歴 | CRフラメンゴ(2017-2018)/レアル・マドリード(2018-) |
年俸 | €2,912,000(3億6691万2000円)/週給€56,000(705万6000円) |
巷では「ネイマール2世」「ニューネイマール」とも言われているヴィニシウス・ジュニオール。
FIFAの規定によりお預けにはなったが、彼が若干16歳の時にレアルが4500万ユーロ(50億円)を出してまで欲しがった逸材だ。
フットボール漬けだった幼少期
そんなヴィニシウスが生まれたのはブラジルの中でも最も治安が悪く最も貧しい地域と言われているリオデジャネイロ州サンゴンサロ。
食卓に食べるものが並ぶのが当たり前でなかった家庭で育った彼はとても内気な少年だったという。
家でテレビゲームを1日中してるようなゲーム好きで、超人気サッカーゲームFIFAではバルセロナのメッシを使う事が大好きだったとか。
「僕はいつも友達とストリートでサッカーをして家に帰る理由は、FIFAをするか食べる為か寝る為だけだった」と言っている。
そんなヴィニシウスは5歳からフラメンゴ系列のサッカースクールに通い始め、フットサルからフットボールに触れ始めた。
だが、練習場はちょっとだけフェリーに乗っていかなければならない場所にあり、最初はなんとか両親も頑張っていたが後にお金的にキツくなってしまった。
フットサルにハマっているヴィニシウスの為に両親は頑張っていたと思うと普通にうるっと来る話だ。
しかし、ヴィニシウス少年にはサンパウロに住んでいるおじさんがいて、サンパウロはこれまでに比べたらかなり練習場に近づくということでおじさんと第二の故郷として暮らし始め、フットサルも今まで通りプレーする環境を得たヴィニシウスはメキメキと実力をつけ同世代でずば抜けて上手い存在になる。
フットサルからサッカーへ
そして2009年のヴィニシウスが9歳の頃、両親はヴィニシウスをフラメンゴのフットサルアカデミーのテストに参加させた。
しかし結果は、不合格。
ヴィニシウスのセンスは疑いの余地がなかったが体が小さかった為、1年後にもう一度戻ってくるように告げられた。
しかし1年後、10歳になったヴィニシウスが受けたのはフラメンゴのサッカーチーム。
フットサルではなくサッカーの道を選んだのだ。
それがヴィニシウスが一気にスターダムを駆け上がるきっかけになり、10歳のヴィニシウスはこの頃から有望な未来のスターとして周りから一目を置かれる存在になる。
フラメンゴのユースチームでは必ず上の世代の選手達とプレーをしてその中でも才能を遺憾無く発揮したヴィニシウスは、13歳の時にU-15ブラジル代表に初招集された。
その代表で出場した南米U-15選手権の6試合ではなんと6ゴール5アシストの大活躍を見せ、ブラジルの優勝に大きく貢献。
一気に注目を浴びると、16歳でU-17リーグに参加し10ゴールをマークするなど攻撃陣を牽引するなど大活躍だった。
名を轟かせたブラジルサッカー登竜門
そして、彼が一番その名を世界に轟かせたのは、国内クラブのU-19以下のチームが出場できるサンパウロ杯だった。
サンパウロ杯というのは日本でいう高円宮杯のようなもので、今や世界的スーパースターにもなったネイマールも出場した事のあるブラジルサッカーの登竜門とも言われている大会だ。
この大会(U-19)に3歳若くして出場したヴィニシウスは大会7試合を通じて4ゴール5アシストの活躍。
ブラジルではこの頃からヴィニシウスのことを「ニューネイマール」だとか「ネイマール2世」だというようになった。
ちなみにネイマールがこの大会に出場したのはヴィニシウスより1歳若い15歳の時だというもんだから驚かされる。
そしてなんと我らがレアル・マドリードはこの若きブラジルの至宝である16歳に4500万ユーロのオファーを出したのだ。
FIFA規定により18歳以下の国外への移籍は認められていない為、18歳になる2018年7月からの加入が決まったのだ。
我らが永遠のライバルバルセロナもヴィニシウスに目をつけていたが、バルセロナはこの時2500万ユーロでのオファーだったそうだ。
バルセロナに行かれるくらいなら大金叩いてでもエル・ブランコに迎え入れた方がいい。
記録尽くしのブラジル時代、そしてマドリー加入
ヴィニシウスのブラジルでの躍動はまだ終わらない。
サンパウロ杯の後に出場したU-17南米選手権ではチームは優勝、個人的には7ゴール大会得点王と最優秀選手賞を獲得するという大車輪の活躍。
サンバのようにノリノリである。
ヴィニシウスはネイマールも成し遂げることができなかった2つの世代で南米選手権を優勝した。
この活躍を受けてフラメンゴのトップチーム監督はヴィニシウスを昇格させることを発表し、発表した直後のカップ戦の初戦でいきなりデビューするなどまさにヴィニシウスがブラジルサッカー界の注目の的だった。
2017年にトップチームデビューしてから2シーズンで69試合14ゴール5アシストという記録を残し、ついに2018年にブラジルの至宝がマドリードに到着した。
レアル・マドリードに加入してからは当時のロペテギ監督の考えで、まだ若い選手ということや高額な移籍金で過度のプレッシャーを与えないことを考慮してトップチームの練習に参加しながら、レアルの実質Bチームに当たるカスティージャに登録。
しかし、5試合で4ゴールを挙げるなどカスティージャでもその実力を発揮すると、トップチームに合流し第7節のアトレティコ・マドリード戦で88分からではあったがトップチームデビューを果たした。
2019-2020シーズンはチェルシーからエデン・アザールがエル・ブランコに加入しポジションが被っている為出場機会は失われてしまったものの、アザールの度重なる負傷などにより徐々に出場機会を増やしている。
記憶にも新しい3月に行われたバルセロナとのエル・クラシコでは値千金となる決勝ゴールを決めるなど我々を興奮させてくれた選手でもある。
ちなみにそのゴールでメッシが持っていたクラシコ史上最年少ゴール記録を更新した。
エル・ブランコの一員となってまだ日は浅いが、レアルファンでもう彼の名前を知らない人はいないだろう。
それくらいファンは期待をしているし、20歳という年齢を考えてもまだまだ成長してくれることを願うばかりだ。
ヴィニシウス・ジュニオールが使用中のスパイク【ナイキ ヴェイパー エリート14】
そんなヴィニシウス・ジュニオールのプレーを支えているスパイクがヴェイパー・エリート14。
このスパイクはサッカーをプレーするのに必要最低限のものだけを残して軽量化されているスパイクで、なおかつ粘着性のあるメッシュ素材がボールタッチをサポートしてくれるというサッカー選手にも人気のスパイク。
全天候に対応できるACC(オール・コンディションズ・コントロール)を使用しており、Nike Gripテクノロジーを取り入れているインソールが靴の中で足が滑るのを防いでくれる。
ヴィニシウスといえばなんといっても爆発的なスピードと相手を翻弄するドリブル。
早く走るためにはスパイクは重いよりは軽い方が良いということ、スピードだけでなくテクニックでも見せるプレーを好むヴィニシウスのためのスパイクと言っても良いだろう。
ヴィニシウス・ジュニオールのプレースタイル
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レアル・マドリードが当時16歳のブラジル人に4500万ユーロもの高額な資金を費やすほど、マドリディスタから期待されているヴィニシウス・ジュニオール。
「ネイマール2世」と呼ばれているほどの逸材の何がすごいのか?
ヴィニシウスのプレースタイルや特徴について書いていく。
僕がヴィニシウスを語る上で欠かせないと思うポイントは以下の通りだ。
- 相手を切り裂くドリブル
- ブラジル人らしい魅せるテクニック
- アシストも出来る選手
それでは一つずつ解説していくことにする。
相手を切り裂くドリブル
まずヴィニシウスを語る上で欠かせないのがドリブルだ。
「ヴィニシウスといえばドリブル」と覚えてもらっておいて構わない。
それくらい彼はドリブルが上手い選手だ。
彼自身も「ドリブルの上手さは神から授かった才能だ」と言っているほど。
ヴィニシウスはボールを持ったらブラジル人らしいトリッキーなテクニックと持ち前のスピードで相手を一気に切り裂く。
テクニックに関しては後ほど書こうと思うが、初速の速さと加速力の速さには目を見張るものがある。
足がそこそこの速さしかないDFだったらスピードだけで抜き去ってしまえる。
それくらいスプリント力に優れている選手だ。
これを見てもらいたい。
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我らがレアルの選手がこんな簡単にスピードでぶち抜かれてしまうのだ。
そして、そのスピードを駆使して相手の足がそろった瞬間に一気に縦へ抜き去る時もあれば、縦を警戒したDFを見るや否や中へ切り込んでシュートを狙いに行く。
まぁ一言で言って、なんとも厄介な選手だ。
ブラジル人らしい魅せるテクニックもある
そしてヴィニシウスはブラジル人らしいテクニックも持ち合わせている選手だ。
ロナウジーニョやネイマール、ロナウドやロビーニョもそうだが、フットサルで足元を培った選手は本当にトリッキーなプレーを平然とやってのける。
ヴィニシウスもそんな選手の一人だ。
シザースフェイントはもちろん、相手の頭上を越すシャぺウや片方の足でゴムのようにアウトインするエラシコ、相手のメンタルを折る股抜きなどトリッキーなプレーを好む選手。
子供の頃は内気でおとなしかったくせに、とにかく魅せるプレーが好きな選手なのだ。
そういう部分は確かにネイマールっぽいなとも思うが、個人的には彼のドリブルやプレーを見ていて感じるのはネイマールというよりはロビーニョにかなり似たプレースタイルだと感じている。
細かいタッチで相手に仕掛けてシザースフェイントでまたいで縦スピード勝負!って感じのスタイルはネイマールよりロビーニョだ。
ネイマールはどっちかと言ったら相手の足が出てくるのをどんどんかわしていく相手をイライラさせるタイプな気がする。
ヴィニシウスはとにかく身体能力勝負って感じで相手からしたらそれやられたら勝てない!って思わせるタイプ。
スピードに乗ったドリブルも得意だが、それにプラストリッキーなプレーが加わるとなると相手にとっては厄介度がかなり増すだろう。
アシストもできる選手
そしてヴィニシウスという選手を語る上で大事なポイントがもう1つある。
それがアシストもできる選手ということ。
これは実際にスタッツでも残っていて、2018-2019シーズンのコパ・デル・レイでは8試合に出場し7アシストを記録している。
もちろんカップ戦なので下位のチームも含まれているのは事実だが、ウインガーとしては十分すぎる数字だ。
ヴィニシウスのアシストはシンプルなものが多い。
というのも、ゴール前のフリーな選手にラストパス、もしくはキーパーと相手DFの間にグラウンダーのパスなど、相手を抜き去ってからラストパスを供給する事が多い。
これも、つまりはヴィニシウスのスピードとテクニックを兼ね備えたドリブル突破力によるものだと思う。
20歳前後のアタッカーがウイングが定位置とはいえ、自分の得点よりも味方の得点を優先するのはなかなかできない。
個人的にはマルコ・アセンシオにアシストしているイメージがすごく強い。
いずれにせよ、スピードやテクニックを活かして、最後のパスやクロスの精度が高いのはシュートも警戒するDFからしたら嫌な存在ではあるだろう。
課題はたくさんある選手
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ここまで優れた才能を持つヴィニシウスのプレースタイルや特徴について書いてきたが、彼はまだ課題や改善すべき点が何個かある。
若干20歳のアタッカーであり、まだまだこれからと焦る時期ではないのかもしれないが、いちレアルファンとして言わせてもらいたい。
今のところ及第点にも満たない評価しかできない。
確かにクラシコで決勝ゴールを決めたり、彼のアシストで勝利に酔いしれたことは何回かある。
ただ、彼の課題は1つ明確なものがある。
それが得点力不足だ。
2018-2019シーズンは試合出場は少ないものの、18試合2ゴール。
2019-2020シーズンは徐々に試合出場して、29試合3ゴール。
ブラジルにいる時代に得点王になったりしていた面影はどこに行ったのかと思ってしまうほどゴールを決めれていない。
あるメディアはヴィニシウスの決定力はたったの5.8%と報じていたんだとか。
単純にシュート数とゴール数があまりにも見合っていない。
今シーズンは少しでも多く試合に出場して、少しでも多く得点に絡んでほしいなと心から願っている。
というのも、我らがレアルのアタッカーにはアザールやアセンシオ、台頭してきたロドリゴなどなどトップレベルのライバルがたくさんいる。
そこで勝ち抜いて行くためには決定力を上げることがヴィニシウスが生き残る道なのは間違いない。
せっかくスピードとテクニックがあるので、決定力を上げる事ができれば歴史に名を刻むことが出来る選手になれるポテンシャルは十分だ。
彼の成長がレアルを強くする
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サッカー王国ブラジルで飛び級で活躍し続けてきたヴィニシウス・ジュニオール。
相手DFからしたら絶対に前を向かせたくないプレイヤーなのは間違いない。
- 爆発的な瞬発力と加速力
- スピードに乗った相手を切り裂くドリブル
- 相手を翻弄するトリッキーなプレー
- しっかりアシストができるウイング
2018年から所属しているヴィニシウスだが、未だ定位置を確保したとは言い切れない。
今は同じポジションの選手に負傷者が出ている為、出場機会が増えているような感じだがヴィニシウスの課題でもある決定力が改善されれば定位置確保には大きく近づくだろう。
テクニックがある選手あるあるとして、ボールを持ちすぎてしまう傾向があるのも課題だ。
状況判断がうまく出来ず相手に囲まれてボールロストをするシーンもある。
これはネイマールとあえて比較させてもらうが、ネイマールは持ちすぎるがロストはあまりしない。
仕掛けるタイミングやテクニックの使い方はやっぱりネイマールはうまい。
スピードやフィジカルはネイマールより上かもしれないが、テクニックを活かすという部分ではネイマールより一枚下手だと思う。
そういう点ではヴィニシウスのがむしゃらに仕掛けたり魅せたりする感じが改善されれば相手にとって今以上に脅威になるだろう。
まだまだ荒削りな部分がある20歳だが、これからレアルというトップクラブで揉まれてどんどん成長していってほしい。
我らがレアルにはヴィニシウスやロドリゴ、そして久保建英のような有望な若い選手がいる。
そこだけ見たらファンとしては安泰だが、それらホープだと思っていた選手が首を切られるようなことがあってはならない。
正直、ヴィニシウスは今のままでは危ないと思う。
要の選手が負傷し、チームが低迷している時期にヴィニシウスがチームを支えてくれるように応援していきたい。
ヴィニシウス、これから期待してるぞ。