我らがレアル・マドリードで不動の右サイドバックとして君臨しているダニ・カルバハル。
世界最高のサイドバックの1人として名を馳せているカルバハルだが、世界最高を目指せる逸材と言われている若きサイドバックがレアルにはもう1人いる。
それが、スペイン代表にも選出されている快速サイドバック、アルバロ・オドリオソラだ。
クラブでも代表チームでもカルバハルに毎日学ばせてもらっていると語るオドリオソラ。
今回は、アルバロ・オドリオソラのプレースタイルや特徴についてとことん解説していく。
アルバロ・オドリオソラのプロフィール
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本名 | アルバロ・オドリオソラ・アルサリュス(Alvaro Odriozola Arzallus) |
国籍 | スペイン |
生年月日 | 1995年12月14日(25歳) |
身長 | 176cm |
体重 | 66kg |
利き足 | 右 |
ポジション | DF(SB) |
背番号 | クラブ:19/代表:12 |
着用スパイク | adidas Predator Freak High |
経歴 | レアル・ソシエダB(2013-2017)/レアル・ソシエダ(2017-2018)/レアル・マドリード(2018-)/バイエルン・ミュンヘン(2019-2020 loan) |
年俸 | ー |
同胞でもありエル・ブランコを牽引する主将でもあるセルヒオ・ラモスが是非とも獲得するようにクラブに提案したとされるアルバロ・オドリオソラ。
2018年ロシアW杯のスペイン代表にも選出され将来を期待されている逸材だ。
そんなオドリオソラはスペインのバスク州にあるサン・セバスティアンで生まれる。
サッカー好きの両親の間で生まれたオドリオソラは気づいたらサッカーに夢中になっていた。
そして2006年、彼が10歳の頃に若手の育成に評価が高いレアル・ソシエダの下部組織に加入する。
下部組織で必死に努力し、激しいトレーニングを数々こなし実力をメキメキとつけたオドリオソラは、Bチームの関係者の目に留まった。
そして、2013年にBチームに昇格を決めると、セグンダ・ディビジオンB(実質3部)のラス・パルマス戦でデビュー。
同月には、UEFAユースリーグのB代表チームにも選出され数試合に出場するなど、代表、そしてクラブチームで徐々にサイドバックの座を確固たるものにしていった。
2014-2015シーズンではスタメンに定着し、レアル・ウニオン戦ではBチームでの初ゴールを記録。
Bチームではあったが、シーズンを通して安定したパフォーマンスを残したオドリオソラは2016年2月にレアル・ソシエダと2年契約を結んだ。
2016-2017シーズンには「ラ・レアル」(ソシエダの愛称)の右サイドバックを務めていたカルロス・マルティネスとホゼバ・ザルドゥアが負傷したことにより右サイドバックの選手が不足したレアル・ソシエダ。
悩んだ末に下した決断は、Bチームからオドリオソラを昇格させるということ。
これが彼にとって転機となり、2017年1月のマラガFC戦で先発デビューを飾ると、2016-2017シーズンは最終的に16試合に先発出場。
そのシーズンでの成果が認められ、シーズン終盤で主力の座に定着すると2017-2018シーズンには正式にトップチーム昇格を果たした。
2017-2018シーズンにはリーグ戦だけで35試合以上の出場機会を確保し、レアル・ソシエダの不動の右サイドバックとして躍動した。
その活躍を見たレアル・マドリード、というかスペイン代表の選手を欲しかったペレス会長はオドリオソラに接触。
多くのクラブが獲得を狙っている中、すんなりと交渉をまとめ、2018年7月に6年契約の移籍金3000万ユーロで加入することが発表された。
加入初年度となった2018-2019シーズン当初は、カルバハルの怪我の影響もあり出場機会を得ていたものの、鎖骨骨折という大怪我に泣き最終的に22試合出場に終わった。
そして2019-2020シーズンも不動の地位を築いているカルバハルの存在は大きかった。
前半戦でわずか4試合の出場に終わると、2020年1月にはブンデス王者のバイエルン・ミュンヘンへシーズン終了までのレンタル移籍が決まる。
ジダンは望んでいなかったようだが、オドリオソラはジダンの愛情を感じながら一旦バイエルンで半年間頑張ることを決めたんだとか。
しかし、レンタル移籍先もドイツで連覇中の超強豪。
サイドバックのポジション争いは厳しく、本人の不調もありなかなか出場機会を掴めないままシーズンが終わってしまった。
最終的にはブンデスリーガ3試合、DFBポカールの1試合、チャンピオンズリーグ1試合に出場したのみ。
コロナによる中断期間も災いしてレンタル先でも思ったような結果を残すことはできなかったまま、レンタル期間が終了し、2020年6月より再度レアル・マドリードに復帰してきている。
そして、2020-2021シーズンもカルバハルがいる限りポジション争いが激しいものになるのは明らかだ。
シーズン序盤はカルバハルが靭帯の怪我を負い長期離脱を強いられた。
一見チャンスのように思うが、同時期にオドリオソラも負傷してしまっていたこともあり、そのチャンスを生かすことはできなかった。
当時バックアッパーとしてレアルで長年起用されているナチョも負傷していたこともあり、本職の右サイドバックが不在になったことで前線が本職のルーカス・バスケスをサイドバックで起用するしかない時期もあった。
左サイドバックが本職のメンディを右サイドバックで起用している時期もあった。
オドリオソラが復帰すれば、彼らを本職のポジションに専念させる事ができるのでオドリオソラの早期復帰が望まれていたが、結局カルバハルの方が先に復帰。
この時期にオドリオソラが負傷をせずにプレーできていたら…
カルバハルよりも先に復帰していたら…
もしかしたらカルバハルが戻ってきた後もスタメンに定着していたかもしれない。
オドリオソラはついてない、と正直思ってしまった。
とにかくオドリオソラは今まともにシーズンを戦い通せていない状況が続いている。
万が一カルバハルが負傷してしまった際でも、「オドリオソラがいるから大丈夫」と思われるくらいの存在に早くならなければならない。
アルバロ・オドリオソラが使用中のスパイク【アディダス プレデター フリーク】
そんなアルバロ・オドリオソラが着用しているのがadidasのプレデターフリーク+。
このスパイクはなんと言ってもアッパー表面に搭載されている「デーモンスキン」が特徴の1つで、このイボイボが高精度のボールコントロールとボールに強い回転をかけることに貢献してくれる。
収縮性と圧着性が高い素材を採用している履き口は足とスパイクががっちりとホールドされる履き心地を提供し、軽量化されたスプリントフレームがグリップ性を高めてくれるのでスプリントにも効果を発揮してくれる。
プレデターフリークLowとの違いは、レースレス仕様になっていることとひねる動作だったりターンの時も足首をしっかりとサポートしてくれるデザインとなっている。
オドリオソラの持ち味はなんと言ってもオーバーラップからのセンタリングという事もあり、デーモンスキンの効果を人一倍感じれる選手なのかもしれない。
また攻守のタイミングでの切り返しや強靭な選手たちと渡り合うためにも足首をサポートできる仕様を選んだのだろう。
アルバロ・オドリオソラのプレースタイル
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レアル・ソシエダで頭角を表し、スペイン期待の若手プレーヤーとして将来を渇望されたアルバロ・オドリオソラ。
我らがレアルを始め、ライバルのバルセロナなど多くのビッグクラブが欲しがった逸材だ。
ここからは、そんなオドリオソラのプレースタイルや特徴について解説していこうと思う。
僕が思うオドリオソラを語る上で欠かせないポイントは以下の通り。
- 高精度のクロス
- 果敢に仕掛けるドリブル
- 豊富な運動量
一つずつ解説していくとする。
高精度クロス
オドリオソラを語る上で絶対に欠かしてはいけないのが、精度の高いクロスだ。
オドリオソラはとにかくクロスからチャンスを演出する回数が多い。
GKと相手DFの間に通すグラウンダーの速いボールはもちろんだが、オドリオソラの真骨頂は対空時間の長い弧を描くようなカーブをかけたピンポイントクロス。
彼のボールの曲がり方は相手GKの方に向かっていくが、グインと曲がって味方に合ってしまう。
その為、ベンゼマや、少し前で言えばクリロナやベイルなどのヘディングが強いアタッカーはオドリオソラの恩恵を受けている。
ボールをトラップしてルックアップする余裕があるくらい彼の前にスペースがあれば確実に味方の位置にパスを供給できるし、トップスピードでサイドを駆け上がっていたとしても小さな足の振りでクロスを上げることができる選手。
体の進行方向に向かって直角にクロスを上げるこの技術は彼の股関節の柔らかさもあるだろうが、その精度には驚かされる。
そして、精度の高さを可能にしているのが視野の広さだろう。
彼はトップスピードでドリブルして切り込んでいる間もしっかりと味方の位置を把握できている。
また、スペースを見つけるのも素早く、そのスペースにしっかりと蹴り込む技術もあるため、オドリオソラがクロスをサイドからあげれば必ずシュートで終われる、と言っても良いくらいチャンスメイクすることができる。
同胞の先輩でもあり、レアルでもポジション争いを繰り広げるライバルのカルバハルも様々な球種を駆使してクロスを上げる選手だが、味方にしっかりと合わせる精度といった部分ではオドリオソラが勝っていると思っている。
オドリオソラのサイドからのパス精度は確実に彼のストロングポイントであり特徴の1つだ。
果敢に仕掛けるドリブル
また、オドリオソラを語る上で欠かせないポイントがチャンスを演出するドリブルスキルだ。
オドリオソラはパスだけが魅力の選手ではない。
持ち味の一つでもあるスピード・アジリティを生かし、最後尾から最前線までボールを前へ運ぶことができる推進力がある選手でもある。
ドリブルをする際にマルセロのような足元のテクニックを駆使するタイプではなく、スピードを生かしたドリブルや味方とのワンツーで相手を崩すパターンを持つ。
特に、前にスペースがある時のオドリオソラの高速ドリブルはなかなか簡単には止められない。
守備の選手ではあるが、攻撃には積極的に参加し、どこにでも顔を出して味方の攻撃に絡んでいく。
先ほど高精度のクロスについて書いたが、相手もオドリオソラから供給されるパスを警戒する為、チャンスを作らせない為にもクロスを上げさせない対応をするだろう。
しかし、オドリオソラは攻撃時にボールを持つとウインガーのような動きをする。
というのも、中に切り込んでいくドリブルやスプリント力を生かしてキックフェイントからの縦への突破など様々なドリブルパターンを持ち合わせている。
これも、カルバハルとの違いで、カルバハルはどちらかというと、中に切り込むというよりは縦への突破が素晴らしい選手。
縦への推進力という部分ではカルバハルもかなり相手の脅威になっているが、オドリオソラは縦だけでなく中にも切り込んでいく事ができるという点で攻撃の幅が広がる。
マルセロのように中に切り込んで自らシュートをバンバン打っていくタイプでは決してないが、相手DFにとって攻撃参加した際に的を絞らせないサイドバックは厄介であることは間違いない。
豊富な運動量
そして最後に、オドリオソラを語る上で豊富な運動量について触れないわけにはいかない。
オドリオソラは「無尽蔵のスタミナ」を持っている選手だ。
レアルのサイドバックの話をすると、必ず出てくるのがマルセロの守備意識の低さだが、カルバハル同様、オドリオソラは守備の選手としてしっかりと守備の役割をこなす。
サイドバックの選手として守備をしっかりこなしてからの攻撃参加であることをわきまえている印象だ。
その為、空中戦には少し難はあるものの、対人プレーでも負けない力強いプレーを90分間しっかりと見せてくれる。
一見、華奢に見える体型ではあるがフィジカルが弱い印象はない。
カルバハルほどフィジカルが強い訳ではないが、スピードに乗ったタックルで相手を吹っ飛ばすシーンも見せてくれる。
そして、先ほどから書いているような果敢なドリブルや高精度のクロスを生かすために積極的に攻撃に参加する。
この上下動をハイレベルで繰り返す事ができるのはオドリオソラの無尽蔵のスタミナがなければこなすことはできないだろう。
果敢なドリブルについて書いたが、果敢なオーバーラップも彼の魅力の1つ。
中盤の選手がボールを持った時に、猛スピードで外側を駆け抜け相手DFを惑わせる。
味方はオドリオソラを囮に使うこともできるし、高精度のクロスを上げてくれるオドリオソラを使うこともできる。
何よりボールを持っている選手の内側を駆け上がるインナーラップの質も素晴らしい。
ただのオーバーラップとは違い、相手の中の選手を外に引き出す事ができるので、ゴール前にスペースができる。
その為、これもオドリオソラを囮に使いゴール前のスペースを利用するか、オドリオソラのパスを信じるか選択できる。
このようにオドリオソラの豊富な運動量は攻撃のバリエーションを増やす上で必要不可欠な存在。
その為、オドリオソラの攻撃参加はチームにとって非常に重要な戦術の1つではあるが、守備をハイレベルにこなして攻撃参加するのは並大抵のスタミナではこなすことはできない。
オドリオソラを見ていると試合中に止まっていることはないのではないかというくらい動いている。
これに関してはポジション争いをするカルバハルも負けてはいないが、サイドバックの選手として守備の役割をしっかりと全うするのはもちろん、レアルのサイドバックは攻撃にも参加する事が求められる為、豊富な運動量を持ち合わせているのは必須の条件と言えるだろう。
それでも、高速ドリブルと精度の高いパスがあるオドリオソラは相手DFにとって厄介な存在であることは間違いないだろう。
攻撃面ではカルバハル以上!?
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カルバハルの影に隠れていてソシエダ時代の輝きを未だ発揮できていないアルバロ・オドリオソラ。
ライバルが負傷している時期に自分も怪我をしてしまうという、運の無さを感じてしまう。。
だが、オドリオソラの実力は、セルジ・ロベルトやベジェリンなどサイドバックに優秀な人材が揃うスペイン代表でも選出されるほどの逸材だ。
- 精度の高いクロス
- フリーの選手を見つける視野の広さ
- 果敢に仕掛けるドリブル
- 縦にも中にも切り込める高速ドリブル
- 攻守に貢献できる豊富な運動量
正直、スペイン代表のサイドバックということもあり、カルバハルとタイプは非常に似ていると思う。
ただ僕が思うカルバハルとオドリオソラの違いをあえて述べさせてもらうなら、オドリオソラはカルバハルより攻撃的な選手だということ。
カルバハルは対人プレーがオドリオソラよりも強くフィジカル的にも勝っていると感じるが、オドリオソラの方がパス精度やドリブルスキルは上に感じる。
本当に僅差であるのは分かっている。
しかし、これは経験の差なのかなんなのかは分からないが、カルバハルには攻撃参加の際にオプションが多い気がする。
要はカルバハルは縦への突破をするオーソドックスなタイプのサイドバックではあるが、味方の使い方や自らシュートを打つなどの選択肢が多い。
オドリオソラはパスの精度は非常に高いし、中に切り込むことは出来るが、パターンは単調だと感じる。
そして、課題としてオドリオソラはなかなかシュートを打たない。
代表戦で決めたようなシュートをもっともっと狙っていっていいと思う。
シュートを少し遠くても打てるようになると、相手からしたらもっともっと脅威的な存在になれる。
オドリオソラはエル・ブランコの一員になればカルバハルがいることでポジション争いを承知の上で加入していることはかっこいいと思う。
ただ、本当にずっとベンチを温める訳にはいかないだろう。
カルバハルが輝きを失うまで待っている訳にもいかないでしょう。
レアルファンとして、下から這い上がってくるオドリオソラのこれからの成長を楽しみにしたい。
ってことで今回はここまで。
Hala Madrid!