クラブ歴代2位の出場数を誇り、21世紀の名GKとして名を馳せたイケル・カシージャス。
最近ではレアルのフロントに入閣したレアルの下部組織出身のカシージャスだが、その後はコスタリカ代表のケイロル・ナバスが引き継ぎ、現在レアルの正守護神として不動の地位を確立しているのがティボ・クルトワだ。
どの時代を見てもエル・ブランコのゴールに鍵をかける大事な役割をこなすGKは世界屈指のGKであることは間違いない。
そして我らがレアル・マドリードにはクルトワの後を虎視眈々と狙っている若手GKが控えている。
それが「ウクライナの新星」とも言われているアンドリー・ルニンである。
18歳でA代表デビューを飾り、ウクライナの英雄アンドリュー・シェフチェンコ(代表監督)も絶賛する逸材だ。
今回はそんな大きな可能性を秘める期待の若手GKアンドリー・ルニンのプレースタイルや特徴についてとことん解説していく。
アンドリー・ルニンのプロフィール
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本名 | アンドリー・オレクシヨヴィッチ・ルニン(Andriy Oleksiyovych Lunin) |
国籍 | ウクライナ |
生年月日 | 1999年2月11日(21歳) |
身長 | 191cm |
体重 | 80kg |
利き足 | 右 |
ポジション | GK |
背番号 | クラブ:13/代表:1 |
着用スパイク | Nike Phantom GT2 |
経歴 | FCドニプロ(2016-2017)/FCゾリャ・ルハーンシク(2017-2018)/レアル・マドリード(2018-)/CDレガネス(2018-2019 loan)/バリャドリード(2019-2020 loan)/レアル・オビエド(2020 loan) |
年俸 | ー |
ウクライナサッカー界の期待のホープとも言われているアンドリー・ルニン。
ルニンのサッカーキャリアは実にスピーディだ。
ウクライナのクラスノーラード出身のルニンは、12歳の頃にFCメタリスト・ハルキウのユースチームに入団。
ウクライナの首都キエフの次に大きい街であるハルキウに本拠地を置く古豪だ。
あまり聞き覚えのないクラブチームかもしれない。
ウクライナリーグで2強と言われているFCディナモ・キエフとFCシャフタール・ドネツクが1位2位を争っている時に3位につけることも多かったのがこのFCメタリスト・ハルキウ。
2016年に経営破綻してしまい解散してしまったチームではあるが、ルニンは2015年までこのクラブのユースチームで実力をつけた。
2015年にはドニプロを本拠地とするFCドニプロに入団すると、2016-2017シーズンのFCカルパティ・リヴィウ戦でトップチームデビューを果たす。
この時まだ17歳だ。
デビュー戦のルニンは自信あふれるプレーで堂々とプレーしチームに貢献した。
当時ドニプロで監督を務めていたドミトロ・ミハイレンコは「10歳の頃からルニンのキャリアを見てきたから自信あるプレーをすることは分かっていた。」と語ったほど。
デビュー戦にも関わらず、安定した足元のプレー、後ろからの守備陣への的確な指示を送る姿は自信に溢れ、チームに安心感をもたらしたという。
その後リーグ戦22試合に出場し正GKの座を確立したルニン。
しかし、2016-2017シーズンにチームは低迷し2部に降格。
降格に伴いルニンは当時の他のチームメイト4選手と一緒にFCゾリャ・ルハンスクに移籍することになった。
ゾリャ・ルハンスクはルハーンスクを本拠地とするクラブで、近年ではディナモ・キエフとシャフタール・ドネツクの2強に次ぐ3位になることが増えたチームだ。
ビッグクラブに行く前に若手が力をつけるにはもってこいと言われているようなチームで、ルニンはそこでも正GKのポジションを確固たるものにした。
このチームでUEFAヨーロッパリーグでのプレー機会を得たルニン。
初舞台となったヨーロッパリーグデビューのアスレティックス戦でも堂々たるプレーを見せ、1-0での初勝利に貢献した。
なんとこの試合でルニンが見せたセーブ数は5。
見事チーム・オブ・ザ・ウィークに選ばれるほどの大活躍だった。
完全に監督やファンからの信頼を得たルニンは、リーグ戦29試合の公式戦全36試合に出場しリーグ戦4位でシーズンを終えた。
シーズン途中にはスペインのレアル・ソシエダへの移籍が取り沙汰され、その移籍は結局実現することはなかったものの、シーズン終了後の夏にルニンがどこかへ移籍するのは明らかだったという。
通常、ゾリャ・ルハンスクの選手は中堅クラブへ移籍することが多いという。
しかし、ゾリャの会長は「インテルやリバプールよりもさらに大きなクラブの関心を集めている」と発言したことが話題になった。
周りは懐疑的な目を向けながら嘲笑していたという。
ウクライナの期待の新星ということもあり、色々な憶測が飛び交い国内では非常に注目を浴びていた。
そしてその後、我らがレアル・マドリードへ6年契約の移籍金1400万ユーロでの移籍が発表された。
当時のレアルはティボ・クルトワ、ケイロル・ナバス、そして第3GKとしてキコ・カシージャスの3人がトップチームに帯同していた。
その為、加入当初はカスティージャでのプレーが濃厚と言われていたが、キコが退団濃厚ということもあり第3GKとしてトップチーム帯同とも見られていた。
しかし、キコの移籍が期間内に決まらず残留が確定すると、レアルはルニンに経験を積ませようと出場機会を増やすためにレンタル移籍を決意。
同じマドリード州に本拠地を置くCDレガネスへ1年契約でレンタル移籍で加入した。
それでもレガネスにはイバン・クエジャルというスペイン人正守護神が在籍していたこともあり、定位置を確保するには至らない。
第2GKとしてベンチを温める日々が続き、クエジャルを休ませる要員としての公式戦たったの7試合のみの起用にとどまった。
十分にプレー時間を確保できなかったルニンは翌年もバリャドリードへ1年契約でレンタル移籍をすることになる。
しかし、このシーズンも正GKだったジョルディ・マシップの控えとしてベンチを温める日々が続き、出場試合はカップ戦のたったの2試合。
レガネス時代よりも出場機会を得ることはできていなかった。
出場機会を得て成長してきてほしいレアル側は、2020年冬にバリャドリードとの契約を破棄して2部に在籍していたレアル・オビエドに半年間レンタルさせることを決断。
これが功を奏して、2部の舞台ではあるがシーズン途中から20試合に出場することができた。
スペインに来てからプレー時間を確保できていなかったルニンからすればこれはかなりデカかったことだろう。
2019-2020シーズンのレアル・オビエドでの活躍が認められたことや、PSGからレンタルで加入していたアルフォンス・アレオラが期間終了により退団したこと、ジダンの息子でトップチームの在籍経験もあるルカ・ジダンが退団したことより、第2GKとして2020-2021シーズンはトップチームに帯同することが決定した。
本人が1番分かっているとは思うが、レアルの正守護神クルトワはまだまだ衰える兆しはなく、なんなら絶好調というコンディション。
そんなベルギー代表からスタメンの座を奪うのは簡単なことではないだろう。
しかし、エル・ブランコで活躍できるだけのポテンシャルを持っていることは周知の事実。
レアルのトップチームに帯同できるメリットは、トップレベルの練習に参加できることでもある。
まだ21歳の若手GKにとって、練習でトッププレイヤー達の中に混じりシュートを受けるだけでも大きな成長の場となることだろう。
クルトワの牙城を崩すことができるのか、これからも注目していきたい。
アンドリー・ルニンが使用中のスパイク【ナイキ ファントム GT2】
そんなアンドリー・ルニンのプレーを支えているスパイクがファントムGTエリート。
このスパイクはシュート、パス、ドリブルなど「スキルを引き出せ」をコンセプトに作られたスパイクで、アッパーの表面に「ジェネラティブテクスチャー」と呼ばれる立体のテクスチャーを搭載することでそれぞれのスキルの動作中に適切なグリップを生み出している。
素材自体も足の形状に合わせて柔らかくしなやかなフィッティングを実現するので、ボールタッチの感覚として素足感覚を求めるプレイヤーに好まれるスパイクだ。
ルニンがGKとしてプレーで何を一番求めているのかはこのスパイクを選択しているところにあると思っている。
おそらく味方に正確なパスを届ける、攻撃の始めの一歩として貢献していきたいという思いがこのスパイクを選択している理由なんだと思う。
アンドリー・ルニンのプレースタイル
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ウクライナ国内でポテンシャルを発揮し、鳴り物入りでスペインにやってきた新星ゴールキーパー、アンドリー・ルニン。
レアルではまだ出場機会に恵まれていないものの、持ち前の堂々とプレーできるメンタルと自信は、現在正GKであるクルトワに万が一のことがあっても何も心配する必要はないだろう。
ここからは、そのアンドリー・ルニンのプレースタイルや特徴について解説していく。
僕が思うルニンを語る上で欠かせないポイントは以下の通りだ。
- 駆け引きを可能にするポジショニングセンス
- 手足の長さを生かした守備
それではひとつずつ解説していく。
駆け引きを可能にするポジショニングセンス
まずルニンを語る上で絶対に欠かしてはいけないポイントが駆け引きの上手さだ。
そしてそれを可能にしているのがポジショニングセンスだろう。
GKというものは、2つのゴールポストとボールを線で繋いだ時に出来る三角形の真ん中に立つのが基本。
これが所謂、正しいポジショニングというものだ。
つまり、1秒1秒でボールが常に動いている試合中では正しいポジショニングというものは1秒1秒で変わってくる。
ルニンを見ていると、細かいステップを踏みながら前後左右にポジションをしっかり修正している。
これはGKの基本なので、プロは全員できるだろ!って思う人もいるかも知れないが、ポジショニングが悪いGKも沢山いる。
GKのプレー経験がない僕が見ていても分かる選手は分かってしまうが、元日本代表で現在はGKコーチの松永成立氏もポジショニングができていない選手はプロでも腐るほど居ると言っていた。
正しいポジショニングをとっているGK相手では、シュートを打とうとしている相手からしたら、打つコースが無い!入る気がしない!って感じてしまうだろう。
おまけに、ルニンは191cmという体格がある。
当たり前だが、GKは体が大きければ大きいほど有利だ。
小さいGKは前に出るとループシュートはもちろん、逆にシュートコースが空いてしまうが、でかい選手はその心配がないからである。
もちろん体が重くてはしょうがないが、ルニンは細身でアジリティに優れているのでポジショニングさえしっかり正しい位置を取れていれば基本体のどこかには当てることができる。
そしてその抜群のポジショニングセンスを生かしてシュートを打つ相手との駆け引きをしているのだが、それがまた抜群にうまい。
僕が色々な動画を見ていて思うのは、1vs1の状況で相手がもう少し近づいてからシュートを打とうとワンタッチして前に出ると、ルニンもそのタイミングでポジショニングの三角形内で一気に前に出る。
すると相手はシュートを打つ時間もコースもなくなり、結果至近距離でルニンにぶつけてしまう。
また、そのワンタッチが少しでも大きくなろうもんなら一気に飛び込んでシュートすら打たせない。
判断力の素晴らしさや飛び出す勇敢さもルニンの魅力の1つではあるが、ポジショニングセンスがあるからこその駆け引きは相手を無効化にしてしまうルニンの得意技と言っても過言では無いだろう。
手足の長さを生かした守備
そして、ルニンを語る上でもう1つ欠かせないのが、手足の長さを生かしたセービングだ。
191cmという体格もあり、ルニンは手足が長い。
レアルの正GKティボ・クルトワも非常に手足が長いこともあり「タランチュラ」という愛称で親しまれているが、ルニンも負けていない。
その為、万が一シュートで逆をつかれても横っ飛びで触ってしまえる。
また先ほども書いたが、ルニンは細かいステップを踏みながらポジショニングを修正し対応するタイプのGKだが、いざ!という時の瞬発力も素晴らしいものを持っている。
その為、横っ飛びでセービングするシーンは瞬発力+手足の長さを生かしてゴールは割らせない。
PKのシーンなんかは手足を広げるだけでゴールがミニゴールになってしまうのではないだろうか。
キッカーの気持ちを考えるとルニン相手にPKのキッカーは名乗り出たくない。
実際、PKストップの確率も高い印象がある。
そして、何より手足の長さを生かしていると感じるのが、クロスボールへの対応だ。
ルニンは基本的にハイボールに対してアタックしていくタイプ。
アタックするというのは、パンチングをしにいったり、キャッチをしにいったりするのだが、とにかく「流石にそれは触れないだろう!」っていうボールも必ず触って弾き出す。
本当によくアタックしていくタイプなのでコーナーキックのキッカーも頭を悩ませるだろう。
これも先ほど言った「判断力の良さ」を兼ね備えているからこそのプレーではあるが、自身の高さと手足の長さを生かして積極的に飛び出していくルニンを攻略したいならハイボールという選択肢は間違っているし、右コーナーキックでゴールに巻くボールを蹴る選手はルニン対策してないも同然だ。
正守護神クルトワにあってルニンに無いものとは?
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「ウクライナの矢」とも言われウクライナの英雄でもあるシェフチェンコから絶大な信頼と評価を得ている21歳のウクライナ人、アンドリー・ルニン。
ルニンが正GKの座を手にするのもそんなに遠くないはずだ。
- 巧みな駆け引きを可能にするポジショニングセンス
- 細かなステップワーク
- 判断力の良さが抜群
- 飛び出しの勇敢さ
- 手足の長さを生かしたセービング
- ハイボールへの絶対的な自信
このように、弱点はほぼないと言っても過言ではない。
だが、本当に不運なことに、現在我らがレアル・マドリードのゴールマウスを守っているティボ・クルトワも似たようなタイプの選手。
違いを言うなら、クルトワはどちらかと言ったら反射神経でシュートストップするイメージだが、ルニンはポジショニングによる駆け引きでシュートストップするイメージ。
本当にそのプレースタイルの違いくらいで、身体的な特徴やハイボールへの自信などの点は特徴が似ている。
なんならクルトワは199cmとルニンよりも高身長で、ルニンの持ち味でもある手足の長さもクルトワは持ち合わせている。
かつ、競り合い時にぶつかられても負けない強靭なフィジカルを持っている。
ルニンはまだ若いからなのかは分からないがルニンは細身。
その「軽快さ」は得意のステップワークからの横っ飛びに生きているのかも知れないが、ゴールを本気で取りに来ている相手選手との接触で怪我のリスクもある。
そして、クルトワにあってルニンにない1番大事なもの。
それは「試合を読む力」だろう。
これに関しては経験値の差もあるというのは仕方がないこと。
チームとしては、そして監督としては、試合の状況を見てプレー判断を明確にかつ的確に行えるGKを起用したいというのはなんら不思議な思考回路ではないだろう。
その為、これからルニンは起用されるであろう今の所数少ないチャンスでしっかりとそこの部分をアピールする必要がある。
クルトワと練習をしたり、クルトワが出ている試合を見て、試合の状況を見て素早いスローイングやパントキックでカウンターの起点になったり、時間を使ったりする「クルトワの上手さ」を見習ってほしい。
我らが日本代表のホープ久保建英とも仲良しということで、よく写真にも一緒に写っているルニン。
ルニンがコロナに感染した時は、久保の友達がコロナ感染!って記事に書かれてしまうくらい仲良しらしい。
久保と同じくまだまだ若い選手。
レアルの試合前にGKのスタメンを見て、クルトワではなくルニンが出ている試合がちょっと楽しみだ。
まだ21歳なのでこれからまだまだ成長して欲しいし、いつかレアルの救世主・正守護神になってほしいものである。
がんばれウクライナの新星、アンドリー・ルニン!
Hala Madrid!
そうだ、ここからは完全に偏見だが、インスタグラムを見ているとルニンはしっかり目のナルシストだと感じた。
クルトワの時はそんなことなかったのだが、ルニンは同じような画角の横っ飛びの写真しかない。
そして、彼女にデレデレしすぎだ。
彼女の写真が多すぎる。
ん、ちょっと待てよ?
ポジショニングが完璧なのに横っ飛びのファインセーブが多いってことは…
まさかお前…
川島じゃないだろうな…
Ha…Hala Madrid!!