かつてジダンやロナウド、ベッカムやフィーゴなどを擁し数々のタイトルを獲得してきた銀河系軍団こと我らがレアル・マドリード。
個性的で超攻撃的な選手が多い当時のエル・ブランコで攻守のバランスを保つ重要な役割を果たしていたのが元フランス代表のマケレレだ。
当時の銀河系軍団のようにどんなに強いチームでも攻守のバランスを取る事ができるアンカー(守備的ミッドフィルダー)の存在が極めて重要になってくる。
そして、今のレアル・マドリードでマケレレと同じくアンカーとしてチームのバランスを取っているのがブラジル代表カゼミロだろう。
今のレアル・マドリードはカゼミロなしでは全く機能しないと言っても過言ではないほど重要な守備的MF。
そんな我らがエル・ブランコで不動の存在であるカゼミロのプレースタイルや特徴についてとことん解説していく。
カゼミロのプロフィール
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本名 | カルロス・エンリケ・ジョゼ・フランシスコ・ヴェナンシオ・カジミーロ(Carlos Henrique Casimiro) |
国籍 | ブラジル/スペイン |
生年月日 | 1992年2月23日(28歳) |
身長 | 184cm |
体重 | 80kg |
利き足 | 右 |
ポジション | MF(CMF/DMF)/CB |
背番号 | クラブ:14/代表:14 |
着用スパイク | Nike Phantom GT2 |
経歴 | サンパウロ(2010-2013)/レアル・マドリード(2013-) |
年俸 | €10,504,000(13億2350万4000円)/週給€202,000(2545万2000円) |
レアル・マドリードにおける中盤の底でバランスを取り相手の攻撃の芽を摘む姿がマケレレ2世とも言われているカゼミロ。
そんな不動の守備職人でもあるカゼミロだが子供の頃はなんとフォワードの選手だった。
子供の頃から身長も高くフィジカルにも恵まれていたカゼミロはヘディングで多くのゴールを決めるような、そんな選手だった。
嘘がきっかけで掴んだ名門への加入
そんな彼が12歳の頃の事、彼はブラジルの名門サンパウロFCの入団テストを受けた。
300人ほどの入団希望者がいてその中から選ばれるのは約50人ほどだったという。
当時の監督が各ポジションの選手が何人ほどいるかを確認したときに、GKは3人、FWは40人ほど、攻撃的MFも40人くらいだった。
そして守備的MFを聞かれた時に7~8人ほどしか手を挙げなかったことで「よし自分は守備的MFだ」と、入団テストを守備的MFとして受けたんだとか。
監督にはバレていたらしいが「守備的MFとしてサンパウロのトライアルを受けにきた」の一点張り。
カゼミロ少年は競争の少なかったボランチのポジションでテストに見事合格した。
ぶっちゃけ、受かっちゃうのが凄い。
マドリーはカゼミロ「お試し」で獲得!?
2002年にサンパウロのユースチームでサッカーのキャリアをスタートさせたカゼミロは、持ち前のフィジカルとサッカーセンスでメキメキと実力と経験を積み、2010年に見事トップチーム昇格を果たす。
デビュー戦から約1ヶ月後のクルゼイロ戦では初ゴールを決めるなどサンパウロ内でも存在感を発揮した。
3年後の2013年に我らがレアル・マドリードのカスティージャ(Bチーム)にレンタル移籍が決まる。
レンタル移籍という事、しかもレンタル先がカスティージャという事もありお試し感覚での契約だったのはあるかもしれない。
だが彼はそこでも評価を高めていき、見事トップチーム昇格を果たした。
買取価格はわずか600万ユーロ。
カゼミーロほどの選手をわずか600万ユーロで獲得出来たのは奇跡、というかフロントの見る目が素晴らしい。
その後2014年には買取買戻オプション付きでポルトガルの名門FCポルトへ1年間のレンタル移籍。
当時のポルトの監督はのちにレアル・マドリードで指揮を執る事になるフレン・ロペテギ。
ロペテギの元で2014-2015シーズンを素晴らしいものにしたカゼミロはFCポルトから買い取りオプションでの完全移籍の打診を受ける。
しかし、レアル首脳陣は買い戻しオプションを行使し、カゼミロをレアル・マドリードに復帰させることを決断。
2015年にはレアルはカゼミロと2021年6月30日まで契約を延長した。
「嘘」からマドリーで替えの効かない存在へ成長
今でこそジダン監督の信頼を得て、アンカーという守備的ミッドフィルダーのポジションでスタメンに定着しいるが、実は最初はジダンの信頼は得てなかった。
実際、2015-2016シーズンのラファエル・ベニテスが指揮をとっていた時代は出場機会を得て復帰後1年目にしてはなかなかの貢献をしていた。
だが、途中でベニテスが解任されて現監督のジダンが指揮を執ると就任後5試合は出場機会を得る事ができなかった。
これまで中盤の底でプレーをしていたカゼミロはジダンに「僕はもっとプレーしたい」「なぜ出れないのか?」と直談判したんだとか。
ジダンはこう答えた。
「カセ落ち着いてくれ。君がプレーし始めたら止まる事なくプレーし始めるだろう。」
カゼミロはこの言葉が忘れられないようで、その後、徐々に出場機会を得たカゼミロは「2分でも90分でも食べ物を食べるようにプレーする」と気合十分。
現監督のジダンとの信頼関係を築き、それから今までの多くの試合でスタメンに名を連ねている。
2019-2020シーズンのカゼミロは我々マドリディスタから見てもフル稼働。
公式戦46試合に出場し出場時間はチームトップの4080分。
他の選手が休養でローテーションされる中、替えの効かない存在として常にアンカーとしてレアルの中盤を支えた。
リーグ戦でのボール奪取数はリーグトップの294と守備でチームを支えていた事が数字にも表れている。
今ではカゼミロ無しでレアルの中盤は形成できないと言っても過言ではないくらい重要な存在になっているが、彼の代替え選手がいないのはファンとしては心細い。
ブラジル代表でもマドリーでも不動の潰し屋へ
そんなカゼミロだが、ブラジル代表には2015年に初招集されたが2018年ロシアW杯の南米予選まではサブメンバーである事が多かった。
しかし、南米予選でスタメンに名を連ねてからは当時の代表監督であるチッチ監督から「これほどいい選手とは思わなかった」と高い評価と信頼を得た。
それ以降はブラジル代表の中でも不動の守備的ミッドフィルダーとして、攻撃色の強いセレソンでチームのバランスを取る役割を全うしている。
レアル・マドリードは今黄金の中盤と言われている。
ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、そしてカゼミロだ。
いずれの選手も代表で中心選手として活躍しており、それでなく世界的に見ても優秀なミッドフィルダーであることは間違いない。
だが、レアル・マドリードはそんな3人をかなりお買い得に買い物出来ている。
つまり、コスパが良すぎる3人だ。
- ルカ・モドリッチ→移籍金4200万ユーロ
- トニ・クロース→移籍金2500万ユーロ
- カゼミーロ→移籍金600万ユーロ
永遠のライバルでもあるバルセロナの中盤を見てみよう。
- ルーク・デ・ヨング→8600万ユーロ
- フィリペ・コウチーニョ→移籍金1億6000万ユーロ
- ピャニッチ→移籍金6500万ユーロ
移籍してきた時代や年齢などもあるかもしれないが、バロンドールを受賞したモドリッチでさえ4200万ユーロで獲得したレアルのフロントを僕は本当に見る目があるなと感じる。
若手を見る目があるレアルのフロント陣であればこれからレアルを支えてくれる選手をどんどん見つけて欲しいものだが、まだまだカゼミロら3人が中盤を譲るつもりはないだろう。
カゼミロが使用中のスパイク【ナイキ ファントム GT エリート】
そんなカゼミロのプレーを支えているスパイクがファントムGTエリート。
このスパイクはシュート、パス、ドリブルなど「スキルを引き出せ」をコンセプトに作られたスパイクで、アッパーの表面に「ジェネラティブテクスチャー」と呼ばれる立体のテクスチャーを搭載することでそれぞれのスキルの動作中に適切なグリップを生み出している。
素材自体も足の形状に合わせて柔らかくしなやかなフィッティングを実現するので、ボールタッチの感覚として素足感覚を求めるプレイヤーに好まれるスパイクだ。
カゼミロは相手からのプレッシャーを常に受けながら限られた時間で正確に味方にパスを届けたり、少ないチャンスでも一発を決め切ることができる選手なだけに、正確なボールタッチを生み出すことのできるこのスパイクを選択しているのだろう。
カゼミロのプレースタイル
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レアル・マドリードが世界に誇るブラジルが生んだ最強アンカーカゼミロ。
今やレアルに欠かせない存在となっている彼だが、彼の何が凄いのか。
カゼミロのプレースタイルや特徴について書いていきたい。
僕が彼を語る上で欠かせないと思うポイントは以下の通り。
- 水準以上の守備能力
- 鋭い危機察知能力
それでは一個ずつ解説していくとする。
水準以上の守備能力
まずカゼミロを語る上で欠かせないポイントはフィジカルが優れているということだ。
彼はその持ち前のフィジカルを生かした守備が非常に得意なプレーヤー。
身長は184cmと申し分ないが、何より体の厚みがすごい。
相手チームの真ん中にこんな選手がいたら怖気付いてしまってもしょうがないって体をしている。
実際、相手との激しいプレーもなんのそので、相手に体を当ててボールを奪い取る。
しかしカゼミロのスゴいところはただフィジカルを生かした守備が上手いだけではない。
そのフィジカルを持っていながら体の当て方が非常に上手い選手というのが言える。
というのも、カゼミロは相手との駆け引きが非常に上手い。
相手の目線、体の向き、そしてボールタッチの大小などタイミングの計り方が絶妙なのだ。
そして自分がボール奪取できる間合いに入ってきたら一気にボール奪取を敢行する。
自慢のフィジカルを生かしてガツンと体をぶつけて奪い取る時もあれば、足を出したりスライディングをしてボールをかっさらうのだ。
おそらくだが、ピッチサイドで見ているみんなが「ナイスディフェンス!」って叫ぶのではないだろうか?
それくらい、綺麗にボールを奪って見せる。
先ほどもチラッと書いたが、カゼミロのボール奪取の貢献度は数字でも表れている。
2019-2020シーズンはリーグトップの294回のボール奪取を記録。
35試合に出場したカゼミロだが、1試合平均にすると8.4回もボールを奪取していることになる。
これは半端じゃない数字だ。
対人プレーで絶対的な勝率を誇るのが、我らがエル・ブランコのアンカー、カゼミロだ。
鋭い危機察知能力
そして守備職人とも言われているカゼミロだが、フィジカルだけが彼の特徴ではない。
カゼミロは危機察知能力が非常に高い選手だ。
むしろ、ボール奪取数が多いのが危機察知能力が高いからでもある。
これはつまりどういうことかというと、試合の状況を読むのが非常にうまく、危険な選手や危険なスペースを見つけたら一気に潰す事が出来る。
例えばライバルのバルセロナには、メッシとかいうボールを触れば何かしらしでかしてくる選手がいるが、彼がボールを受けた瞬間に猛烈なタックルを仕掛けたりする。
相手がトラップした瞬間に一気に体を寄せて自慢のフィジカルでボール奪取するのだ。
そして、味方が危ない位置でボールを失ってしまい、カウンターアタックをされそうになると、その始まりとなる元をカゼミロがガツン!と潰してくれる。
しかしメッシのような選手になると、そんなカゼミロのタックルも交わして攻撃を続けようとするのだが、カゼミロは躊躇することなくファールでプレーを止める。
もちろんファールで止めるのでカードをもらうこともあるが、基本的にはカードをもらわない程度の「良いファール」で相手のカウンターを防いでくれる。
これも、今ここでプレーを切らないとピンチになる!という危機察知能力が高いが故のプレーだろう。
プレーを一旦止めることで味方が自陣に戻る時間を確保出来るので、失点の可能性を少しでも低くするという守備におけるサッカーIQの高さがあるのは間違いない。
そして危機察知能力の高さはカバーリングにも活きている。
基本的にカゼミロはモドリッチとクロースと三角形を作る形で後ろでプレーする。
攻撃の際はモドリッチやクロースが上がるため、2人が開けた背後のスペースを相手は突いてくる。
しかし、2人の背後のスペースをしっかりとカバーする事が出来るのがカゼミロだ。
またレアルにはセルヒオ・ラモスという絶対的なセンターバックがいるが、彼もまた攻める守備をする選手なだけに前に釣り出されるシーンもよくある。
ラモスに関してはなんでそこにいるん?ってくらい攻撃の選手並みに上がっている場合も多い。
そんな時にしっかりとカバーリングをしているのもカゼミロだ。
とにかく危機察知能力の高さもそうだが、守備の戦術理解度が非常に高いというのが分かる。
カゼミロが出場した試合と出場していない試合では30%も勝率に差が出ていたシーズンもあるほど、カゼミロのアンカーとしての貢献度、そして存在感は凄まじいのだ。
攻撃的な選手が多いチームほど、彼のような存在は活きるのだろう。
彼がいる限りレアル・マドリードとブラジル代表のアタッカー陣は安心して攻め上がる事が出来るだろう。
替えの効かないレアル不動の「潰し屋」
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レアルの中盤に君臨する「潰し屋」ことカゼミロ。
彼がいるだけで相手に多大なプレッシャーをかける事ができる。
- フィジカルを生かした守備
- 守備時の巧妙な駆け引き
- 危機察知能力の高さ
- カバーリング力
- 守備の戦術理解度(IQ)の高さ
守備的なミッドフィルダーとしては完璧と言っても過言ではない。
確かにカゼミロのやっているプレーは、モドリッチやラモスなどがやっているようなプレーからすると地味ではある。
だが、守備的な選手として少しでも相手の攻撃を遅らせたり、危険な芽を摘んだりするカゼミロは味方からすればかなり助かっているはずだ。
少しでもサッカーをした事がある人であればカゼミロのプレーに試合中は何度も「サンキュー!」と呟いてしまうだろう。
また、プレースタイルとしては書かなかったが、チャンスがあればゴール前に上がって強烈なシュートを叩き込む事が出来る選手でもある。
我々レアルファンは彼のゴールで何回も叫んだ覚えがある。
それもそのはず、カゼミロがレアルで決めたゴールのうち45%が決勝点だからだ。
強烈なミドルシュートでチームに得点が欲しい時にポッと出て来て相手のメンタルも潰す「潰し屋カゼミロ」って訳だ。
レアルが少しでも良くなって強くなって欲しい我々ファンからすると、カゼミロの欠点は勿論ある。
ブラジル出身だし元アタッカーってことを考えても、パス捌きはもう少し頑張って欲しいなと思う。
縦パスを入れたり、展開したり、DFラインからパスを引き出したりなどというプレーは苦手なようだが、そこまで求めては酷なのかもしれない。
モドリッチやクロースがいることを考えれば無理して攻め上がったり、パスミスしたりしてカウンターを食らってしまってはカゼミロがカゼミロである必要がなくなるから。
今までカゼミロという選手を知らなかった人、カゼミロのプレースタイルを知らなかった人は、地味な選手ではあるかもしれないが、ボール奪取の部分、相手とのデュエルの部分などに注目していってほしい。
ジダンが「唯一替えが効かない選手」と嘆いている理由が分かるだろう。