2020-21シーズンのエル・ブランコは中堅やベテランメンバーをフル稼働させた過密日程により怪我人が続出。
トップチーム所属選手だけではラ・リーガを戦うのは実質無理な状況まで追い詰められている。
そんな中カスティージャから何人も有望な選手が頭角を表し始めている。
その中の一人が、マルビン・パクだろう。
2020年9月20日に行われたラ・リーガ第2節のレアル・ソシエダ戦でトップチームデビューを果たし、2月10日に行われたヘタフェ戦では先発に名を連ねるなど指揮官からの信頼も厚い選手。
未だ無名と言っても過言ではないマルビンの良さや特徴を知らない人も多いだろう。
ということで今回は、マルビン・パクのプレースタイルや特徴についてとことん解説していこう。
マルビン・パクのプロフィール
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本名 | マルビン・オラワレ・アキンラビ・パーク(Marvin Olawale Akinlabi Park) |
国籍 | スペイン/ナイジェリア/韓国 |
生年月日 | 2000年7月3日(20歳) |
身長 | 177cm |
体重 | 63kg |
利き足 | 右 |
ポジション | MF |
背番号 | クラブ:7/代表:- |
着用スパイク | Nike Mercurial Vapor XIV |
経歴 | レアル・マドリード下部組織(2016-2019)/カスティージャ(2019-) |
先発でのデビュー戦となった久保建英所属のヘタフェ戦ではウイングバックで起用され見事にその役割を全うしたマルビン・パク。
トップチームでの試合はまだ数試合しか経験していないが、プレー中の落ち着きや選択はずっと試合に出ているかのようだった。
そんなマルビンが生まれたのはスペインのパルマ・デ・マジョルカ。
それこそ久保建英が以前レンタル移籍で所属していたあの島だ。
マルビンの名前に含まれている「パク」という名前からわかるように韓国人の母とナイジェリア人の父との間に生まれた。
マルビンがサッカーのキャリアを開始させたのはマルビンが6歳の頃。
地元のユースチームであるシウタト・デ・パルマに加入したことがきっかけだった。
そこでは3年間所属してメキメキ実力をつけると、家族が移住するということで2009年彼がまだ9歳の時にイングランドに渡英。
そして、マルビンはマージーサイド州バーケンヘッドに本拠地を置くトレンメア・ローヴァーズFCに加入した。
当初は10歳以下のチームに加入していたというが、2歳年上の子達がいても簡単そうにプレーしていたという。
それくらい当時からマルビンのサッカーセンスは頭ひとつ抜けているものだったそうだ。
イングランドでのサッカーを3年間学んだマルビンは2012年に地元のシウタト・デ・パルマに戻ると、ラ・サージェ、ペニャ・アラバールなど数々のユースチームを渡り歩いた。
そして、イングランドからマジョルカに戻ってきてから4年後の2016年の16歳の頃にレアル・マドリードの下部組織に加入することになった。
エル・ブランコの有能な同世代の選手たちと一緒に成長したマルビンは2019-20シーズンはフベニールA(U-19)の中心選手として活躍。
8月にはUEFAユースリーグを制覇するなど彼にとって大きな自信をつけたきっかけになったに違いない。
準々決勝のインテル戦では1ゴール、準決勝のザルツブルグ戦では2ゴールの大活躍。
決勝のベンフィカ戦では1アシストを記録するなど、あのラウル監督も認める存在感とプレーでチームを優勝に導いた。
2019年1月にはU-19スペイン代表として国際デビュー。
イタリアとの試合は3-0で敗戦となりほろ苦いものとなったが、スペインの代表に選ばれるほどの逸材ということ。
このままレアル・マドリードでコンスタントに出場して活躍する事ができればA代表デビューも夢じゃない。
もちろん、マルビンはスペイン・韓国・ナイジェリアの3つの国籍から選ぶ事ができる。
彼ほどの才能を自国サッカーに役立てたい連盟による争奪戦も必須になるだろう。
ラウール監督も認めた才能はジダン監督も無視することはできなかった。
トップチームデビューを飾ったソシエダ戦では1点が欲しい状況だったのだが、ベンチに座っているセルビア代表のヨヴィッチらを差し置いてマルビンが投入されたことを見てもジダンがどれだけマルビンの才能に賭けたかが分かるだろう。
トップチームの選手たちもうかうかしてられない。
怪我をしていたらマルビンのようにカスティージャからどんどん有能な選手が出てくるからだ。
マルビン・パクが使用中のスパイク【ナイキ マーキュリアル ヴェイパー14】
マルビン・パクのプレースタイル
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将来的に現在レンタル移籍をしている久保建英もライバルになるのではないかと言われているマルビン・パク。
ここまで短い出場時間ではありながら常に目を見張るプレーでアピールしてきた。
マルビンのなにがコーチ陣から高い評価を受けているのか。
マルビンがどんなプレーをするのかがまだ分かっていない人も多いと思う。
ということでここからはマルビン・パクのプレースタイルや特徴について書いていく。
僕が思うマルビンを語る上で欠かせないポイントは以下の通り。
- 絶対的なスピード
- 両足遜色ないテクニック力
- 守備に走れる選手
それでは一つずつ解説していこう。
絶対的なスピード
まず最初にマルビン・パクを語る上で欠かせないのが絶対的なスピードだろう。
マルビンのことをよく知らない人でも彼がプレーしている姿を見ればすぐにスピードがある選手だという風に認識する事ができると思う。
実際、レアル・マドリードの公式サイトには「天性のスピードを持った攻撃的MF」という風に紹介されており、スピード自慢の選手であることは間違いない。
そして、彼のスピードは相手との1vs1のシーンで大いに生かされる。
右サイドが本職のマルビンはサイドで相手選手と1vs1の状況になるのだが、その際に見せる縦への突破は非常に魅力的だ。
そのため、縦へのドリブル突破もマルビンの魅力の1つと言っていいだろう。
前にスペースがあれば小細工なしで突破する事ができるスピードは彼の武器だ。
彼がサイドにいればカウンターアタックだって武器になる。
前にポーンと蹴ったボールを追うマルビンのスピードは相手DFに大きなプレッシャーを与える。
実際、カスティージャでの試合を見ていても裏へのロングボールにはすぐ追いつくほど。
このように、マルビンはスピードを生かして1vs1の状況を作り出してチャンスメイクする事ができる選手。
マルビンのような足の速い選手を見るたびに思う。
サッカーは足が速いに越したことはない。
両足遜色ないテクニック力
そしてマルビンはテクニック力にも優れた選手だ。
彼はただ足が速いだけではなく、右足も左足も遜色なく扱う事ができるのが彼の魅力。
マルビンは1vs1の状況で非常に魅力的な選手ではあるが、何も派手なドリブルをするわけではない。
どちらかと言ったら、先ほども言ったスピードで相手を振り切っていくタイプの選手。
つまり、ここでいうテクニック力というのは派手な見せるテクニックではなく、確実にプレーできるテクニック力だ。
それが分かるシーンは何個かある。
まず密集している状況の場合。
彼はサイドの選手でドリブルに自信のある選手だ。
しかし、だからと言って無理に仕掛けたり、相手に突っ込んでいったりする球離れの悪い選手ではない。
どちらかというと、球離れはかなり良い方だ。
サイドの選手は相手がプレッシャーに行くスイッチが入るポジションの為、度々狭いエリアでボールを受ける事がある。
まずそこで初歩的なミスは絶対にしない。
これはレアル・マドリードの選手なら当たり前かもしれないが、まず両足どちらでもコントロールしてしっかり収める。
そして、相手を背負った状態でもそう簡単に取られる事はない。
相手を見ながら細かなステップを踏みながら細かいタッチでボールを逃す事ができる。
ぶつかられたり押されてはいるが簡単に負けず、その中でしっかりとキープ、捌けるのはでかい。
見た目は華奢ではあるが、パワーを兼ね備えているのもマルビンの魅力の1つだろう。
そして、マルビンはサイドプレーヤーということもありクロスを上げる機会も多い。
ここでも右足左足関係なく質の高いボールを入れる事ができるのだ。
右利きの選手で左足のボールだけ質が悪いとか回転が不親切みたいな選手はいるが、マルビンはクロスの精度も高い。
トップチームで先発デビューしたヘタフェ戦も得点には繋がらなかったがかなり良いボールを送っていた。
左足も右足と同じように使えるため、相手DFからするとどっちかの足を封じるという守備の仕方ができない為、かなり厄介なサイドプレーヤーだろう。
守備に走れる選手
そして最後にマルビンは守備に走れる選手だということだ。
公式にも出ているように、マルビンは攻撃的なサイドプレーヤーの選手。
ドリブルやクロスが得意ということもあり、監督やコーチ陣は基本的には攻撃に絡む活躍をして欲しいはずだ。
しかし、現代サッカーでは守備ができない選手はなかなか起用しない監督が増えている。
トップチームのジダン監督もその一人だろう。
アタッカーでありながらサイドバックもこなす事ができるルーカス・バスケスに厚い信頼を置いているように、サイドで攻守に活躍できる選手は重宝される。
マルビンはそれができる選手だ。
相手陣地深くまで攻撃をしたとしても、しっかりと自分の位置にもどり守備をする事ができる。
ジダンはマルビンのそういう部分を気に入ってるのではないかと個人的には思っている。
なんか、第2のルーカス・バスケスを作ろうとしているのではないだろうか。
実際、先発デビューしたヘタフェ戦ではウイングバックとして出場。
攻撃時の攻撃参加はさることながら、守備時はしっかり最終ラインでタスクをこなさなければならない。
途中で交代することにはなったが、それまでのプレーで出したスタッツは7回中6回のデュエルで勝利、2回のタックル勝利、インターセプト達成、クリア2回。
もちろん、攻撃でも2回のドリブルを成功し、83%のパス成功率を記録し攻撃でも存在感を発揮した。
なぜこんなに守備で貢献できるのか?
それはスピードを生かした速い寄せと見た目によらず持ち合わせているパワーがかなり効いていると思う。
マルビンはボール保持者へのプレスがかなり速いのと、インターセプトをする際に相手の前に入るスピードとパワーがある。
また、相手もよっぽどドリブラーじゃない限り、マルビンと対峙して縦に勝負は仕掛けてこないので守りやすいというのもあるかもしれない。
とにかくジダン監督からしたら、まさにサイドプレーヤーの理想像。
ルーカス・バスケスのように時には3トップの一角、時にはウイングバック、そして時にはサイドバックで出場させる機会が増えるだろう。
実際、トップチーム2試合目は途中出場でメンディの代わりに投入され右サイドバックでプレーしていた。
ジダンはこの若い才能をどう生かしていくのか、どう成長させていくのか、ファンとしてはすごく楽しみだ。
マルビン・パクはまだまだ成長途中!
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怪我人が多い緊急事態が功を奏したのかなんなのか、トップチームで指揮官の信頼を得る事ができたマルビン・パク。
カスティージャでもレギュラーとして活躍している選手でラウル監督からも太鼓判を押されている選手だ。
- 絶対的なスピード
- 縦へのドリブル突破
- 1vs1でチャンスを作れる
- 両足遜色ないテクニック
- 華奢に見えてパワーがある
- 守備に走れる選手
まだまだ成長過程にある20歳のマルビン。
未だA代表デビューをしていないため、レアル・マドリードで定位置を掴むようになればすぐに声がかかるだろう。
アンダー時代はスペインでプレーしたが、韓国代表になるなんて事があったら久保建英とライバル関係になるなんてこともあるかもしれない。
それはそれでマドリディスタとしては楽しいが、まずはマルビンがトップチームに当たり前のように帯同するようになるということだろう。
スピードに関して言えば申し分ないしもう相手DFをてんやわんやにしているので問題はないだろうが、あとはシュートを打つ姿勢だったり、ビビらずに前を向くことなどまだまだ改善点はある。
本人も分かっているとは思うが、カスティージャとトップチームではレベルが何段階も違うので、体力的にも技術レベル的にももっともっと向上していかなければならない。
あとはパワーがあるとは言ってもまだ華奢ではあると思う。
ピッチ上にいてカゼミロの横に並んだ時は親子のようだった。
最高の設備の最高のトレーニング施設で最高のトレーニングを積んでレアルのサイドといえばマルビン・パクと言われるくらいにまでなって欲しい。
同じアジアの血が入っている者としてマルビンは応援していきたい。
頑張れマルビン・パク!
Hala Madrid!!