我らがレアル・マドリードの新監督にカルロ・アンチェロッティが就任した。
アンチェロッティといえば、2013-15シーズンまで我らがレアル・マドリードを率いてリーグ優勝を果たすことはできなかったが、コパ・デル・レイやUEFAチャンピオンズリーグなどを制した名将。
BBCトリオと呼ばれた強力なアタッカー陣を擁し、強烈なカウンターアタックで勝利を積み重ねるチームを作り上げた訳だが、そこで鍵となる選手がいた。
アンヘル・ディマリアだ。
南米選手特有のテクニックで相手を翻弄するドリブルが売りだったウインガーのディマリアをアンチェロッティはインサイドハーフにコンバート。
その采配が見事にハマり、マドリーのリンクマンとして戦力が有り余らないように最強のチームを作り上げた。
実際、マドリーの現戦力にも多くのウインガーが在籍しており試合に出場する機会が少なくなっている選手もいる。
アンチェロッティは新たな「ディマリア」を見つけるのだろうか?
ということで今回は、新アンチェロッティマドリーに提案!新たな「ディマリア」にあの選手を推したい!について書いていきたい。
レアル・マドリードは常勝軍団でならなければならない。 しかもただ勝つのではなく美しく勝つ。 これが我らがレアル・マドリードの目指しているサッカーであり、クラブの信念であると言える。 失意に終わった2020-2021シーズン[…]
周りを驚かせたアンチェロッティの采配
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2013年6月から我らがレアル・マドリードを2年間率いたことのあるカルロ・アンチェロッティ。
ということで、今回の就任はアンチェロッティにとって第二次政権となる訳だが、前回の就任時と今回では少しばかり、いや大きく状況が異なる。
前回の就任時はモウリーニョの後任として「銀河系軍団」を引き継いだ。
モウリーニョがカシージャスと修復不可能なくらいの亀裂が入ったことで、彼がマドリーを去る時のロッカールームは最悪の状態。
マドリーに貢献してきた守護神に対してブーイングが巻き起こってしまうサンティアゴ・ベルナベウの景色は見てられるものではなかった。
そしてアンチェロッティが就任した直後には、司令塔として攻撃を引っ張ってきたメスト・エジルを放出し、当時攻撃を牽引していたロナウドと同じウインガー、ガレス・ベイルと攻撃センスの光るイスコを獲得した。
どちらもマドリーが高額な移籍金を払って獲得した「スター選手」だ。
そしてペレスが突きつけたアンチェロッティへの課題は「スター選手を全員起用して勝ってくれ」だった。
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シーズン開幕戦はベイルが負傷で離脱していたということで、前シーズン同様に4-2-3-1を起用しトップ下の位置にエジルの代わりにイスコを起用しディマリアを右サイドハーフで起用した。
すると、そのイスコが1ゴール1アシストと開幕戦から大暴れ。
エジルが抜けた穴はマドリーのマヒア(魔法)と呼ばれていたイスコで埋まるだろうと心配は1つ減った。
しかし、ベイルが復帰するとアンチェロッティはこれまで4-2-3-1の右サイドハーフを務めていたディマリアを外してベイルを起用した。
アンチェロッティからしたらペレス会長との約束は守った形だ。
ところが、試合に出場すれば攻守に必ず貢献してくれていたディマリアを外すという行為でディマリア本人は激怒。
メディアにもその不満を漏らすなど過小評価されている自分への待遇を問題視した。
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となれば、アンチェロッティは和を乱さないようにする監督だ。
マドリーでもスター選手として活躍してきたディマリアを起用する方向性で考えたのだ。
そこで、アンチェロッティは基本フォーメーションを4-2-3-1から4-3-3に変更。
ディマリアの攻撃センスはもちろん、守備にも奔走する事ができる豊富な運動量や戦術理解度、そして周りとの連携力を評価しインサイドハーフで起用した。
攻撃時は4-3-3、守備時は4-4-2という可変システムを採用し、ペレスの要求にも応えながらロッカールームの和も乱さずにバランスの取れたチームを作り上げたのだ。
当初はこの采配に疑問を持ったものもいただろう。
僕自身もその一人で、ディマリアのようなドリブラーにインサイドハーフは流石に無理だと思った。
それでもディマリアは攻撃時にリンクマンとして君臨し、守備時は自慢の体力を生かして90分間走り切るなど遜色ないプレーを披露。
BBCという最強トリオを全員見ることができて、インサイドハーフにもディマリア、シャビ・アロンソ、モドリッチがいるサッカーを僕らはどれだけ楽しんだだろうか。
下の動画はディマリアがインサイドハーフとして出場した2013-14シーズンのプレー集。
こんな選手を控えに置いとくなんてダメだな。
ディマリアも怒って当然だわ。って思わせてくれるので是非見て欲しい。
第二の「ディマリア」候補はあの選手
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昨今のコロナ禍においてマドリーの財政状況はこれまでとはまた違うため、給料が高くて使いこなせていない選手がいるとなると、クラブ側はその選手を起用してほしいと訴えるようになるだろう。
アンチェロッティはそういったクラブの希望や要求を飲みながら、ファンも魅了する選手、そしてファンを魅了するプレースタイルで勝利を目指すというタスクがある。
現在のマドリーは前回就任時よりロッカールームの雰囲気こそ悪くないが、ベイル級のスター選手の補強は進んでいない。
しかし、同じポジションに戦力を持て余している感は否めない。
特にウインガーはスター選手としてアザールやベイル、若手のスター候補としてヴィニシウスやロドリゴやアセンシオなどがいる。
いずれの選手も得点力不足と言われているアタッカー陣ということで批判の的になることが多いのは事実だが、他のチームでは主力を張れるほどの選手であることは間違いない。
そして、噂されていながらなかなか話が動いていない、キリアン・ムバッペがマドリーに到着しようもんならマドリーは明らかにウインガー過多になる。
これらの中からウイングに2人を起用したとして、そんな才能ある他の選手たちをベンチに置いておくのは、選手の為を思ってもクラブの為を思っても正直良くない。
そこでアンチェロッティがどう動いてくるのか、というのを想像していきたい。
そして個人的にこの選手をこう生かしたい、こう生かしたら面白いかもというキーマンになりそうな選手がいる。
マルコ・アセンシオ
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個人的に一番第二のディマリアになれそうだなと思うのは、マルコ・アセンシオだ。
これは決して左利きだから、とかそういう理由ではない。
アセンシオの魅力といえば、
- 緩急を使った重心の低いドリブル
- パンチ力のある強烈なシュート
- 連携で崩せる連携力
- 状況判断の良さと視野の広さ
- センタリングやセットプレーの精度
- メンタルの強さ
である。
そして、2020-21シーズンの戦い方を見ていると、3トップのウイングで起用された際には守備で後ろまでしっかり戻り、攻撃になればまた前へ出ていく反復力もある。
つまり運動量が豊富であるということを言いたいのだが、これらの特徴はディマリアと似たような特徴を持っていると僕は思っている。
試合を見ていても、アセンシオにボールが渡れば巧みなコントロールでボールを収めて相手に取られるようなことは滅多にない。
相手を背負っていてもフィジカルで負けるようなこともなく、最低でもファールを貰うことのできる選手。
しかし、逆にいえば後ろ向きで受けることが多く、自慢の攻撃力が鳴りを潜めている感は正直否めない。
そこで、仮にアンチェロッティが4-3-3というフォーメーションを敷くのであれば、アセンシオをインサイドハーフに置いてみるのは良いのではないか。
本格的に風当たりが強くなってきたマルコ・アセンシオ🤔
直近100試合で
⚽ 12得点🅰 11アシスト怪我で復帰してから41試合で
⚽ 5得点🅰 3アシスト2018-19シーズンの怪我前44試合で
⚽ 6得点🅰 6アシスト物足りないけど強豪との大一番に強いんだよなぁ✊#スーパーゴール #レアル・マドリード pic.twitter.com/F9pcvy0lyn
— Dale Blanco(ダレブランコ) (@daleblanco10) March 2, 2021
もちろん、インサイドハーフには素晴らしい選手がまだまだマドリーには所属している。
2020-21シーズンは黄金の中盤と言われているクロース、モドリッチ、カゼミロが未だに主力として出場している。
そこに入る隙はないのではないか?と思う人もいるだろうが、モドリッチはもう36歳になる。
彼の能力はいまだに衰えてはいないと思うし、彼がいるだけで中盤が落ち着くのも分かる。
彼が出場することになんの否定もない。
とはいえ、マドリーは年間にリーグ戦、カップ戦を含めてかなりの試合を戦う。
モドリッチをフル稼働させた昨シーズンと同じ過ちを犯してはいけない。
なんなら、マドリーが世代交代を徐々に図っていくのであればモドリッチやクロースを使い続ける訳にはいかないことは一目瞭然だ。
しかし、アンカーにカゼミロをおいて、クロースを置いておけば、アセンシオの新しい能力を引き出せるかもしれない。
供給役をクロースに任せて、回収役をカゼミロ、そして味をつけるのがアセンシオ。
インテリオールにはバルベルデもいるし、カゼミロの代わりにアンカー兼供給役もできるブランコという才能もいる。
ブランコ、バルベルデ、アセンシオという組み合わせもできるかもしれない。
アンチェロッティがミラン時代に配給役のピルロに90分走れる守備型のガットゥーゾと技巧派のセードルフを組ませた3人のように、アセンシオはセードルフ的な役割をできるのではないか。
第一次政権の時のように、配給役のシャビ・アロンソに90分走れる万能型のモドリッチと技巧派のディマリアを組ませたように、アセンシオはインサイドハーフとして十分に通用する選手であると僕は思う。
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新アンチェロッティマドリーはどう動くか
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ここまで、第一次アンチェロッティ政権の時に見せてくれた手腕と、新シーズンに向けて「第二のディマリア」を見出すのに最適な選手を紹介してきた。
バリバリ個人的な意見ではあるが、正直言って自信はある。
しかし、これはあくまで4-3-3をアンチェロッティが採用したときに提案したいコンバート論。
アザール、ベンゼマ、ベイルという3トップが躍動するマドリーの試合見たくない?
ヴィニシウスやロドリゴがバックアップになってしまうじゃん!って気持ちも分かる。
でもあえて昔のマドリーみたいになってほしい!って気持ちを強く押していくなら、マドリーってそういうチームだったよね!って言いたい。
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モリエンテスが控え、ポルティージョが控え、グティが控え、カカが控え、それこそディマリアが控えの時期だってあった。
「他チームに行ったら主力級の選手がベンチに座ってるのがレアル・マドリードのチームだ」ってあえて言わせてもらう。
ピッチに立てるのはわずか11人。
レアル・マドリードほどのチームになればそれもしょうがない。
けど!
全員応援してるよ。
みんなサッカー上手いし、努力してるしね。
とはいえ、アンチェロッティはもっと上を行く戦術を練ってくるかもしれない。
4バックではなく3バックになる可能性もあるし、2トップになる可能性もある。
机上で僕が話す理論よりも、選手と身近に接してコミュニケーションを取る監督の方が選手やチームを理解しているに決まってる(笑)
アンチェロッティが2021-22シーズンにどのようなチームに仕上げるのか。
新たな「ディマリア」が出てくるのか。
今から非常に楽しみだ。
Hala Madrid!!!