我らがレアル・マドリードを最終ラインで引っ張ってきたセルヒオ・ラモスの退団が決定し、更にはラファエル・ヴァランまでが移籍するという噂がある。
守備の要でもあった主力二人が一気に抜けるというのは、チームにとっては一大事だ。
かろうじてダビド・アラバの加入が決まってはいるものの、バックアッパーがいないのは流石に不安。
そこで僕はある選手にセンターバックを任せる価値があるのではないかと考えている。
それが、
フェルランド・メンディだ。
メンディと言えば、不動の左サイドバックとして君臨していたマルセロをベンチに追いやり、自慢の守備力で不動の地位を確立させた選手。
しかし、新監督のアンチェロッティはメンディをサイドバックではなくセンターバックで起用しようと考えているとの噂がある。
個人的にはメンディのセンターバックはアリだ。
ということで、今回はフェルランド・メンディをセンターバックに推す3つの理由について書いていきたい。
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メンディの才能に気づいたヘタフェ戦
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2020-21シーズンはマドリーにとって悪夢のようなシーズンを過ごした。
というのも、トップチーム所属の選手がほとんど怪我をしてしまったからだ。
特に、2021年2月10日に行われたヘタフェ戦(振替による第1節)はトップチーム選手がわずか13人しか起用できないという緊急事態。
特に守備陣に怪我人が多く、右サイドバックをできる選手が一人もいない状況となった。
そこで大方のメディアの予想は4-3-3といういつものシステムで右サイドバックにメンディ、左サイドバックにマルセロを起用するだろうと言われていた。
しかし、実際に試合が始まってみると、メンディとマルセロの距離はかなり近い。
そして徐々に分かってきたのがメンディが3バックの1角としてプレーしているということだった。
左サイドバックでポジション争いをしてきた二人を共存させたジダンの戦術は見事にハマり、マルセロの攻撃センスとメンディの自慢の守備力でヘタフェの攻撃をシャットダウン。
ヘタフェに所属していた久保に対してもメンディはほとんど仕事をさせない落ち着きぶりで、急造のセンターバックとしては出来過ぎの内容だった。
しかもメンディは最後の最後でエリア内まで走り込み、共存したマルセロのパスに飛び込み得点まで取ってしまう始末。
マルセロがこの試合の最後に負傷してしまった訳だが、怪我がなかったらこの布陣で戦える!と新オプションに胸を躍らせた。
まぁ、試合後は
また守備陣に怪我か…
と肩をがっくし落とした訳だけど…(笑)
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メンディをセンターバック起用に推す3つの理由
そんなヘタフェ戦ではマルセロの左ウイングバックとしてのフィット、カスティージャ選手のプレーぶりの収穫もポジティブな内容だったが、その影に隠れて最もポジティブな内容はメンディがセンターバックをそつなくこなすことができたということだ。
あるメディアでは、その試合でメンディがセンターバックを務めれば「ヘタフェの攻撃陣を牽引する久保建英やアレニャにとって追い風になる」とも言われていた。
しかし、結果的に見ればメンディは一切相手に仕事をさせず完封勝利。
その試合を見てマドリディスタの何人かはメンディのセンターバック起用に可能性を感じたはずだ。
そして僕もその1人。
そう思っていた中で、あるツイートが飛び込んできた。
Ancelotti considering using Ferland Mendy as a center-back -report https://t.co/2UOGddhJ2S pic.twitter.com/yY7Xh3sHZG
— Managing Madrid (@managingmadrid) July 16, 2021
なんとアンチェロッティがメンディをセンターバックで使う事を考えているというのだ。
そして僕はその考えに激しく賛同したい。
その理由を少しだけ聞いてほしい。
ダビド・アラバの中盤起用が可能になる
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まず最初にダビド・アラバを中盤で起用することができるようになるということだ。
アラバは左サイドバックを本職としながら、センターバックや中盤もプレーすることができる選手。
ラモスの退団やヴァランの移籍の噂などもあり、センターバック主力が不在になると言われている中での加入ということで、アラバはセンターバック要員なのではないかと言われているがアンチェロッティはアラバを中盤で起用したいと考えているそうだ。
となれば、守備力に長けているアラバをこれまで替えの効かない存在と言われていたカゼミロの代役としても計算に入れることができる。
アラバとカゼミロの2ボランチでトップ下を作ってもいいだろうし、中盤が4枚になった場合の2ボランチでもいい。
もちろん、アラバを左サイドバックでプレーさせれば、左サイドを攻撃的に制圧できることは間違いない。
メンディよりも攻撃が上手くて守備もしっかりできるアラバであれば、メンディがセンターバックをプレーすることでかなり堅い守備陣を構築することができると思う。
何より、最初に言ったアラバを中盤でプレーさせる件に関しては、アラバ自身も中盤でのプレーを望んでいるとの事で、メンディがセンターバックを本格的にプレーするということになれば、チームとしてもさまざまなオプションを考えることができてかなりメリットがあるのだ。
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ミゲル・グティエレスを起用できる
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そして、メンディがセンターバックをプレーするとなれば、期待の若手ミゲル・グティエレスを起用することができるようになる。
ミゲルは2020-21シーズンで頭角を表したカスティージャの選手で、シーズン終盤にはマルセロよりも優先して起用されるなど高いポテンシャルを持っている選手だ。
足元の確かな技術や精度はもちろんのこと、何よりも状況判断能力とサッカーIQの高さはピカイチ。
僕も何試合か彼が出場している試合を見て、
え、本当に19歳?
って疑ってしまうほど、堂々とベテランのように落ち着いてプレーしていた。
左サイドバックはマルセロ、アラバ、そしてメンディと本職としてプレーできる選手はたくさんいるが、メンディがセンターバックで計算できるとなれば、アラバの中盤の件も含めてミゲルを左サイドバックとして起用できる可能性はかなり広がる。
チームを去ったラモスが19歳でマドリーの右サイドバックとして試合に出場していたように、ミゲルを左サイドバックで試合に出場させて欲しい。
それが個人的な僕のお願いでもある。
というか、マドリディスタのみんなならこの願いはほとんどの人が理解してくれると思う(笑)
マドリーがしっかりと管理しないとすぐにビッグクラブに引き抜かれてしまう存在なので、マドリーで価値を高めて行って欲しい選手だ。
いずれにせよ、メンディよりもアラバが左サイドバック争いではリードしているようだ。
ミゲルも入り込んで欲しい。
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現代型センターバックとしてそもそも適してる
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そして最後に、メンディをセンターバックとして推す理由の大きな理由にそもそもセンターバックとして適している選手だからだ。
まずマドリーのセンターバック事情を考えてみると、2020-21シーズンで抜群の安定感を見せてくれたナチョとミリトンのコンビがいる。
ラモスとヴァランを怪我で欠いていながらも、正直そこまで不安視することなく見れたのは間違いなく、ナチョのキャプテンシーとミリトンの覚醒だった。
特にミリトンに関しては、今まで出場させなくてゴメンってジダンが思ってもいいくらいのパフォーマンス。
ナチョに関しては、いつでも試合に出れる状況にコンディションを作っていた事や試合中に激しくプレーしながら冷静にチームをコントロールしていて本当に頼もしかった。
しかし、現代サッカーのセンターバックにはただ相手の攻撃をシャットダウンするだけではなく、攻撃時にも最初の一歩として貢献しなければいけなくなった。
現代サッカーの理想のセンターバック像としてはこんな感じだろう。
- 絶対的な守備力(フィジカルやヘディングの強さも含め)
- 危機管理能力の高さ(カバーリングなど)
- FWに負けないスピード
- ビルドアップ能力(パスやドリブルなど)
- 高い戦術理解度
- コーチング
いや、全てやん。
って思った人もいるとは思うが、本当にそうなのだ。
一昔前は、体が大きくてフィジカルが強い選手がセンターバックの理想像だったとは思う。
漫画とか見てても、センターバックだけ壁のようにでかい選手が描かれていることが多かったと思う(笑)
けど、現代サッカーのセンターバックで必要とされているのはオールラウンドな能力。
センターバックとして相手に絶対に突破されない守備力はもちろんのこと、状況を判断してフリーの選手にパスを送り込む、状況によってはドリブルで駆け上がるなどといった(ナチョが得意なやつ)攻撃時に差を生み出せる選手が重宝されている。
特にビルドアップ能力に関しては、ゲーゲンプレスなどを代表に前からプレスをかけてくるチームがかなり増えてきたこともあり、味方に長短のパスを正確につけることができる選手やスペースを見つけてはドリブルで持ち上がることのできる選手が優秀なセンターバックとなっている。
それではメンディはどうなのか?
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コーチング以外はもうクリアしているのではないかと思う。
試合の映像を見ている中でメンディが声を出していないとは言わないが、ラインコントロールなどのコーチングに関してはこれから学んでいく必要があると勝手に思っている。
それまではナチョやミリトンの声の掛け方を練習などで真似すればいいと思う。
しかし、それ以外の部分に関してはヘタフェ戦でもしっかりと証明された。
守備力に関してはなんら問題はない。
カバーリング能力も攻撃にシフトしていたウイングバックのマルセロの背後をしっかりとカバーすることで、マルセロは安心して攻撃にタクトを振るう事ができただろう。
マルセロの良さとメンディの良さをしっかり見ることができたこの組み合わせは正直アリだなとも考えているほどだ。
スピードも申し分ないし、器用にボールを扱うメンディはパスもドリブルも不安視する要素は1つもない。
実際、ヘタフェ戦でも前のスペースが空いていればドリブルで相手のボランチ脇までドリブルで上がって相手のラインを下げるような動きもしていたし、ロングパスで展開するシーンもあった。
何より、センターバック経験がここまでないからなのかは知らないが、サイドバックをしていた頃より無駄なことをしなくなった印象。
戦術理解度に関しては、急造でセンターバックをこなす事ができるくらいなので間違いなく問題ない。
確かな足元の技術と絶対的なフィジカルとスピードを生かした守備力、そして戦術理解度を持ってすればメンディのセンターバック起用は十分に計算に入れる事ができる。
メンディCBは選択肢の1つに入れれたらデカい
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ここまでメンディをセンターバックに推す理由について語ってきたがどうだろうか?
個人的な意見や視点が多いのは承知しているが、僕はメンディはセンターバックでも十分にやれる存在だと思っている。
もちろん、現代型センターバックという括りで言えばダビド・アラバも素晴らしい選手なのだが、アラバが中盤でのプレーを希望しているというのであればメンディをセンターバックとして起用するとチームとしてうまくいくのではないか?ということを最初に思ったわけだ。
まぁ、アンチェロッティもアラバも中盤でのプレーを希望しているとはいえ、アラバも「ちょっとメンディが安定するまでセンターバックやって」みたいなことを言われたら絶対してくれるとは思うし(笑)
左利きのセンターバックが貴重と言われている中、アラバがやらないのであればメンディがやれるっていうチームは強いと思うなぁ。
なのであくまでもオプションとして持っておくのは武器になるよって話。
何より、昨シーズン怪我人の多さに泣かされたチームなだけに様々なポジションをハイレベルでこなせる選手が多くなることはいずれにしてもメリットがある。
メンディはまだまだ成長できる選手。
「第二のアラバ」をマドリーは作り上げる事ができるのか。
アンチェロッティの手腕とメンディの成長に期待だ。
ちなみに、上にあげた現代型センターバックの全ての能力を持っている選手がいるのを知ってるだろうか?
セルヒオ・ラモスだ。
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完璧なセンターバックだった。
マドリーは彼を失った事で、間違いなく大きい代償を払うことになるだろう。
Hala Madrid!!