我らがレアル・マドリードの下部組織には素晴らしいポテンシャルを秘めた選手が沢山いる。
しかし、それらの選手がトップチームに上がってくるにはスター達を超えていかなければならない。
そんな中トップチーム所属の選手達が怪我をしたことによりチャンスを得ているカスティージャの選手が数名いる。
その一人がマルビン・パクだろう。
我らがエル・ブランコの将来を担うであろう存在でジダンの信頼を掴んできている選手だ。
そしてエル・ブランコの将来といえば我らが日本代表の久保建英も忘れてはならない。
現在ヘタフェにレンタルされているが、レアル・マドリードは久保の素質を買っており将来のスカッドに組み込むとされている。
そこでこう思う人もいるだろう。
「マルビン・パクと久保建英ってポジション被ってない?ライバルになっちゃう?」
僕も最初はそう思ったが、そうなる可能性は低い。
ということで今回は、マルビン・パクと久保建英がライバルにならない理由を解説していく。
マルビン・パクと久保建英がライバル関係にならない理由
View this post on Instagram
トップチーム所属の選手に万が一のことがあったとしてもカスティージャ(Bチーム)所属の選手で補える。
これは我らがレアル・マドリードの強みでもある。
2020-21シーズンの開幕節にジダンはカスティージャの選手を2名送り込んだ。
それがマルビン・パクとセルヒオ・アリーバスだ。
彼らは堂々とプレーし、少ない時間ではあったがその中で見せたプレーはジダンの信頼をより高めたものだった。
そんな中で右サイドでプレーする機会を得たマルビンをみて我々日本人をはじめ多くのサッカーファンがざわついた。
「マルビンが活躍したら久保はレアルに戻ってきても試合に出れないんじゃないか?」
「マルビンと久保がポジションを争うライバル関係になるのではないか?」
という話題が飛び交った。
しかし僕が思うに二人がライバルになる可能性は低い。
その理由は以下の通りだ。
- プレースタイル面
- EU圏外枠問題
それでは1つずつ解説していく。
プレースタイル面
まずマルビンと久保がライバル関係にならない理由として両者のプレースタイルの違いを挙げたい。
マルビンも久保も主に右サイドを主戦場とする選手。
それが理由でライバルになるのではないか?という話題が上がってくるのは分かる。
しかし、両者のプレースタイルを考えるとレアル・マドリードでライバル関係になる要素はあまりない。
まずマルビン・パクのプレースタイルを考えてみると、彼のプレーの特徴をあげるなら
- 絶対的なスピードを生かしたドリブル
- 確実にプレーできるテクニック
- 守備でも戦える選手
といった感じだろう。
2020-21シーズンのエル・ブランコは中堅やベテランメンバーをフル稼働させた過密日程により怪我人が続出。 トップチーム所属選手だけではラ・リーガを戦うのは実質無理な状況まで追い詰められている。 そんな中カスティージャから何人も[…]
まさにサイドプレーヤーの理想像といった感じで、ルーカス・バスケスのようにサイドで激しく上下動を繰り返すことができる選手と言える。
生まれ持った天性のスピードを生かして縦に突破し、中に質の高いクロスボールをあげる。
守備の時は兼ね備えているパワーも活かして跳ね返したりボールを奪取したりする。
そんな選手だ。
そして久保建英のプレースタイルや特徴を挙げるなら、
- 相手を圧倒するドリブルスキル
- アシストできる左右のキック精度
- 間で受けた後の判断力を生かした連携プレー
だろう。
マンチェスターU香川真司、ACミラン本田圭佑、インテル長友佑都などなど、近年では日本人プレーヤーが欧州のビッグクラブでプレーするという時代になってきた。 日本人が所属するチームを追って応援したくなるというのは日本のサッカーファンなら当[…]
マジョルカ時代に右サイドで相手をちんちんにした緩急を使ったドリブルはもちろん、左足から繰り出される精度の高いパス、そして何より相手のハーフスペースでボールを受けることのできる選手。
「左利きのイニエスタ」や「和製メッシ」と呼ばれるだけあって、サイドだけではなく中央でもプレーできるのが久保建英だ。
こうやって比べるだけでもプレースタイルが全く違うのが分かっていただけるだろう。
典型的なサイドプレーヤーがマルビン・パク、サイドを得意とするが中央でもプレーできるのが久保建英だ。
今のレアル・マドリードのフォーメーションでもある4-3-3で当てはめてみると、確かに両者とも3トップの右ウイングで出場することができる。
監督がウイングにどのような役割をこなしてほしいかによってどっちを使うかは決まってくるだろう。
サイドを突破してクロスを上げて欲しいのか、切り込んでシュートを打って欲しいのか、など右利きと左利きの選手どちらを使うかによっても変わってくる。
しかし、違いが出るのはここからだ。
マルビンは4-3-3で貢献できるのは右ウイング、もしくはトップチームでも何回か途中出場でプレーしたことのある右サイドバックだ。
攻撃的な選手ではあるが、守備ができるという面を買われてサイドバックで起用されている。
もしくは3-4-3のシステムをとった場合の中盤のウイングバックだ。
もし3-4-3のフォーメーションが起用された場合、久保とマルビンは縦の関係で共存可能だろう。
久保がキープしてマルビンが久保を追い越していくシーンは容易に想像できる。
そして、久保建英は中盤の3枚のうちインサイドハーフでプレーすることができる。
これは今クロースやモドリッチがプレーしているポジションだ。
レアル・マドリードでのプレシーズンでトップチームに帯同していた時はインサイドハーフでプレーし、後ろから攻撃を活性化させていた。
これはハーフスペースでボールを受けるのが上手いことや視野の広さ、そしてリズム良くパスを繋げることができるが故に出来る。
モドリッチとの連携も良かった。
インサイドハーフのポジションはマルビンにはプレーできない。
逆にサイドバックは久保はプレーできないだろう。
これがマルビンと久保の違いだ。
確かに両者ともまだ若く、課題もたくさん抱えている選手だが、それぞれが成長すればレアルの中心として活躍できる。
そして成長すれば違うポジションでも可能性を見出していくかもしれないし、もし新しい監督が来て基本フォーメーションが変更されればまた何か変わってくるかもしれない。
だが、今のところはポジションでお互いがライバルになる可能性はそこまで高くないだろう。
EU圏外枠問題
そしてマルビンと久保がライバル関係にならない理由はもう1つある。
それがレアル・マドリードのEU圏外枠問題だ。
ラ・リーガでは1チームにつき3選手までEU圏外枠の外国籍選手をプレーさせることができる。
現在のレアル・マドリードでは、ヴィニシウス、ロドリゴ、ミリトンの3選手がそのEU圏外枠を埋めている。
勿論、久保建英は日本代表なのでEU圏外枠の対象となる。
現在はトップチームのEU圏外枠が埋まっているということも理由の1つでレンタル移籍を決定した。
そして、来季はその枠を埋めているブラジル人選手達の1名もしくは2名を放出し、久保がその枠に入るのでは?と言われている。
実際にはレアルにはもう1人、ヘイニエルという期待のブラジル人選手も久保同様枠の関係上レンタルに出されているのもあってどうなるか注目されているくらいだ。
ここで、久保がレアル・マドリードに戻るのに大きな障壁となるであろう問題が浮上しているのだ。
というのもマルビン・パクはナイジェリア人の父親と韓国人の母親との間でスペインで生まれた選手。
つまりA代表に入るとすればこのナイジェリア、韓国、スペインの3つの国から選択することとなる。
もし、マルビンがA代表で韓国代表を選択した場合、マルビンはEU圏外枠の対象選手となってしまうのだ。
つまり、そうなった場合、マルビンと久保はポジションが云々よりもまず、チームの数少ない枠を争うことになる。
となれば確かにライバル関係になりかねない。
が、僕はこれもマルビンと久保はライバル関係にはならないと踏んでいる。
というのもマルビンが韓国代表に入る必要性が全くないからだ。
まずマルビンはU-19スペイン代表としてのプレー経験があること。
確かにA代表デビューするまでは3つの国どこでも選択することは可能だが、一度スペインを選んでいる以上他の国を選択するとはなかなか考えにくい。
スペインのA代表入りを目指していると思う。
そして、韓国代表を選ぶということはマルビンもEU圏外枠を考慮しなければいけなくなるということ。
わざわざ自分の立場が怪しくなるような選択はしないと思う。
そして韓国国籍を取得するとなれば、強制的に徴兵制というルールに応じなくてはならないということ。
サッカー選手であれなんであれ、徴兵する期間はサッカーをプレーすることはできないのだ。
アンダー世代のスペイン代表に選ばれ、レアルに所属しているのに、サッカー選手としての大切な期間を徴兵に費やすとは到底思えない。
お隣韓国では「マルビン対久保」という話題が欲しそうだが、残念ながらそうはいかないだろう。
じゃあナイジェリア国籍を選んだらどうなのだろうか?
全く問題ない。
EUではないため、EU圏外枠になりそうなものですが、全く問題ない。
というのもナイジェリアはコトヌー協定というものを結んでいる。
コトヌー協定というのは簡単にいうと一部を除くアフリカ諸国やカリブ海などの国々がEUと結んでいる協定のこと。
つまり、ナイジェリアはEU圏内枠扱いになるということだ。
なので、マルビンが仮にスペイン代表ではなくナイジェリア代表を選択したとしても久保にはなんの影響もない。
これは意外と知らない人も多いのではないだろうか。
勿論、マルビンがスペインを選んでもらってもなんの問題もない。
要は、マルビンが韓国代表を選択したらEU圏外枠問題で久保に影響が出てしまい、挙げ句の果てには日韓対決でライバルになる可能性はある。
しかし、韓国代表を選択する可能性は低く、尚且つナイジェリアを選択してもらってもEU圏内枠扱いなので久保はノーダメージ、というわけだ。
マルビンと久保は共存すべき将来の仲間
View this post on Instagram
すでにレアルでトップチームデビューを果たしているカスティージャ上がりのマルビン・パクと武者修行のためにレンタル移籍をさせられている久保建英。
両者ともに将来のレアル・マドリードを背負って立てる逸材であることは間違いない。
そして巷で噂されている「二人はライバルになるのではないか問題」に関して、マルビンと久保はライバル関係にならない!ということで私見を述べてきた。
マルビンと久保がライバル関係にならない理由は以下の通り。
- プレースタイル面
- EU圏外枠の面
プレースタイルに関しては、マルビンも久保も足元のスキル、特に1vs1の局面での強さを持ち合わせているが、マルビンは味方に使われる側、久保は味方を使う側と考えるのも面白いかもしれない。
そして、レアル・マドリードが毎年抱えているEU圏外枠問題に関しては、マルビンと久保がぶつかることはほぼほぼ無いと見ていいだろう。
アンダー世代のスペイン代表でプレーした選手が、スペイン代表を目指さず韓国代表になるなどあまり考えられない。
なるとすればスペインでは安定して代表に呼ばれないから、韓国にしちゃおう!ってくらいでは無いだろうか。
というかそもそもサッカーが大好きな選手が徴兵制に従いたいと思うものなのだろうか?
それに関しては分からないが、とにかくマルビンが韓国を選ぶ可能性は低い。
個人的にはスペイン代表を選択するとは思うが、ナイジェリアかスペインかであれば久保にとってはどっちでも良いこと。
仲良くエル・ブランコで共存するまでだろう。
マルビンも久保もポテンシャルに満ちた素晴らしい若手プレーヤー。
まだまだ成長して近い将来でこの二人が同じピッチ上で相手をちんちんにしている姿が見れる事を楽しみにしたい。
ということで今回はここまで!
Hala Madrid!!