レアル・マドリードのような強いチームには実績と能力を兼ね備えた選手が次々と移籍してくるが、若くしてエル・ブランコの守備の要になっている選手がいる。
それがフランス代表の若きディフェンスリーダー、ラファエル・ヴァランだ。
レアル加入以降、若くしてキャプテンセルヒオ・ラモスとのコンビで鉄壁の守備網を構築している。
同胞のスターでもありレアル監督のジネディーヌ・ジダンから「ローレン・ブランの後継者」とも言われているヴァラン。
今や「優勝請負人」という名を手に入れているラファエル・ヴァランを語れる人はどれくらいるだろうか?
レアルでは第4キャプテンを務める若きディフェンスリーダー、ラファエル・ヴァランのプレースタイルや特徴について解説していく。
ラファエル・ヴァランのプロフィール
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本名 | ラファエル・ヴァラン(Raphael Varane) |
国籍 | フランス |
生年月日 | 1993年4月25日(28歳) |
身長 | 191cm |
体重 | 78kg |
利き足 | 右 |
ポジション | DF(CBセンターバック) |
背番号 | クラブ:5/代表:4 |
着用スパイク | Puma Ultra 1.2 |
経歴 | RCランス (2010-2011)/レアル・マドリード(2011-) |
年俸 | €8,944,000(11億2694万4000円)/週給€172,000(2167万2000円) |
高齢化が問題となっているレアル・マドリードを今後率いていくのはヴァランだ!と言われているくらい世界でも注目されているラファエル・ヴァラン。
正直、サッカーをしていない人からしたら知名度は低い選手かもしれない。
それでも我らがレアル・マドリードではキャプテン、セルヒオ・ラモスと世界最強クラスのディフェンスコンビを組んでいる。
そんなヴァランは1993年にフランス北部の都市リールで生まれ、7歳の時に地元クラブでサッカーを始めた。
地元の強豪からも目をつけられていたが、2002年に入団したのはその強豪クラブのライバルチームでもあったRCランスの下部組織だった。
RCランスでは各カテゴリーをあっという間に登っていき、2010-2011シーズンにBチームへ昇格。
そして、すぐにトップチームの練習に招集された。
その上、負傷した選手に代わり先発プロデビューも果たし、チームとしてはそれまで2度しか達成できていなかった完封勝利に貢献。
この時まだ17歳である。
その活躍から今後もスタメンで使われるのかと思っていた矢先、リヨンやマルセイユなどの強豪との試合が続いた為ベンチに逆戻り。
強豪との連戦後はまたスタメンに定着するも負傷していたDFが復活した為、守備的ミッドフィルダーとしても出場しユーティリティーさも持っていることを証明した。
この時点で各国の強豪クラブがヴァランの存在を知り注目されるようになっていたこともあり、ランスはヴァランに2年の契約延長を提示した。
2010-2011シーズンは23試合に出場し、初得点を記録するなど周りを驚かせたヴァランだが、チームはなかなか結果を残せず低迷。
結果的に所属チームが2部に降格してしまったことで、ヴァランは数々のオファーからレアル・マドリードのオファーを受けることを決意した。
その背景には当時レアルのフロントに入りアドバイザーを務めていた同胞のジネディーヌ・ジダンの影響も大きいんだとか。
レアル・マドリードが示した18歳への期待
レアル・マドリードとの契約は6年で移籍金は1000万ユーロ、背番号は19番。
プレシーズンから質の高いプレーを見せるとラ・リーガ第5節には早速公式戦デビューを果たし、コンビを組んだセンターバック元ポルトガル代表リカルド・カルヴァーリョと見事無失点に抑えた。
ヴァランの快進撃はまだ止まらず、その3日後の試合では移籍後初ゴールを決めるなどレアルに新たな若手が台頭してきたことを世間に見せつけた。
2011-2012シーズンの移籍1年目は合計で15試合しか出場していないものの、とはいえ、当時18歳の若者がエル・ブランコの一員として15試合出場したのには彼の能力の高さや彼への期待度が現れていることがわかるのではないだろうか。
2012-2013シーズンからは背番号が2に変更。
UEFAチャンピオンズリーグに出場したヴァランはトルコの名門ガラタサライ戦で完封勝利に貢献し、エースの元コートジボワール代表ディディエ・ドログバに「これまで対戦してきて最も苦しめられたDFがまだ19歳なんて信じられない」と言わせて見せるなど計33試合に出場し主力として活躍する。
しかし、リーグ戦で負傷し右膝の半月板を損傷してしまい長期離脱を強いられてしまうシーズンにもなった。
2013-2014シーズンに復帰を果たすもその後も同箇所の怪我に苦しまれるなど怪我が続くが、2014-2015シーズンにはレアルから2020年までの契約延長オファーがあるとそれを受け入れ、計46試合に出場するなどエル・ブランコのセンターバックとしてフル稼働した。
2016-1017シーズンには背番号を2からヴァランの故郷フランスの英雄ジダンもつけていた5に変更し、その年には2022年6月末まで契約を再延長した。
若くしてレアルに加入して以降2回も延長オファーを申し込まれるという所、レアルではある意味特別な背番号5をつけさせてもらえる所からもヴァランがエル・ブランコの一員として認められ中心選手であることを示している。
世界一を経験した若きディフェンスリーダーへ
そんなラファエル・ヴァランにとって2017-2018シーズンは実りの年にもなった。
というのも、レアル・マドリードでUEFAチャンピオンズリーグの3連覇に貢献したヴァランは、フランス代表でもレギュラーで活躍し2018年ロシアW杯でも優勝。
つまり、同年にチャンピオンズリーグとW杯の2つのタイトルを獲得したのだ。
フランス代表として出場したW杯で活躍した!と言ったが、世代別の代表にも選出されていたヴァランはU-21フランス代表として出場した試合でゴールを決めると、2012年にはフル代表に招集されていた。
出場の夢は叶わなかったが、翌年の2013年には2014年ブラジルW杯のヨーロッパ予選メンバーリストに名を連ねると、ポール・ポグバと共にデビュー戦から先発でフル出場を果たす。
2014年には親善試合ではあるものの代表で初めてキャプテンマークを巻きプレーし、なんと代表初得点まで決めてしまう。
若くしてキャリアをどんどん登り詰めているこの選手は、こういう勝負強さも光っているのだろう。
2016年のEUROにはまたもや怪我の影響で招集されなかったものの、怪我から復帰するとフランス代表の守備の要として替えの効かない存在となっており、優勝したロシアW杯ではベストイレブンにも選出されるなどその名を改めて世界に轟かせた。
そんなヴァランの目標としている選手は元フランス代表でサイドバックとセンターバックの両方で名を馳せたリリアン・テュラムだ。
テュラムは身体的な強さもそうだが速くて、相手のプレーを読み、強引ではなく確実にボール奪取するような選手だった。
ヴァランはこのバルセロナでもユベントスでも活躍したテュラムを現代的にしたディフェンダーと言ってもいいだろう。
彼は今年27歳とまだまだ若い。
高齢化が進んでいると言われるレアル・マドリードで近い将来ヴァランが完全なるリーダーになる日もそう遠くはないはずだ。
ラファエル・ヴァランのプレースタイルとは?
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我らがレアル・マドリードの若きリーダー、ラファエル・ヴァランがこれまでどのようなサッカー人生を歩んできたかを分かってもらったところで、僕が思う彼のプレースタイルと彼の凄さについて書いていきたい。
僕が思う彼を語る上で大事なポイントは以下の通りだ。
-
- 絶対的なスピード
- クリーンな守備
- 絶対的な空中線の強さ
それでは1つずつ書いていくことにする。
絶対的なスピード
ラファエル・ヴァランという選手を語る上で欠かせない要素が「スピード」だ。
ただスピードがあるだけではない。
絶対に負けないスピードだ。
彼は現在のサッカー選手の中で最速なのではないかと言われているくらい足が速い。
快速を売りにしているオーバメヤンでさえ走り負けたほどだ。
サッカーをしている人は分かると思うが、センターバックをする選手は基本的に体はデカイが足が遅い。
例に挙げると、レアルの永遠のライバルでもあるバルセロナにジェラール・ピケという典型的な選手がいる。
彼はデカイが遅い。
だが一方、ヴァランは快速フォワードよりもスピードがあるのだ。
レアルでコンビを組むセルヒオ・ラモスもめちゃくちゃ足が速いことで有名だが、センターバックが足が速いと以下のようなメリットがある。
- 相手選手が足が速い選手でも苦労しない。
- カバーリングの範囲が広がる。
フォワードの選手は常にスペースを探して得点チャンスを虎視眈々と狙っている。
その為、ディフェンスラインの裏にボールを呼び込みスピードで一気に振り切ろうとする。
全く問題ない。
ヴァランは長い手足のスラロームを生かして快速で簡単に追いつく。
もちろんドリブルが得意な選手にも負けない。
例えフェイントに引っ掛かったとしてもすぐに追いついてみせる。
そして、ヴァランがレアルで若くしてセンターバックに起用されている理由はカバーリングの範囲が広いからだ。
なぜカバーリングの範囲がヴァランは広いのか?
足がとてつもなく速いからである。
ヴァランのプレースタイルを話す時に「予測するセンス」を言う人もいるが(もちろん間違っていないが)、大前提に足が絶対的に速いというのがある。
もちろん、足が速い上に予測能力に優れているセルヒオ・ラモスのプレーを見ているからか、ここ最近は相手のプレーを予測して動くカバーリング能力の高さも上がってきている。
要は単純にスピード勝負でカバーリングをしなくなったということだが、これは我々エル・ブランコにぴったりの選手であることは間違いない。
というのも、レアルのサイドバックを主に務めているマルセロやカルバハルは積極的に攻撃に参加する。
つまりカウンターを受けている時に相手が狙ってくるのはサイドバックが本来いるはずのスペースである。
だが、ヴァランは自分のポジションを離れてそのスペースまでもカバーリングしてしまう。
守備範囲がかなり広い、それがラファエル・ヴァランだ。
サイドバックは彼がいるからこそ安心して攻撃参加できるのだ。
要は、レアルのサイドバックがかなり攻撃的で守備に大きな穴(スペース)を開けても、ヴァランとセルヒオ・ラモスがいれば「鉄壁」ということだ。
クリーンな守備
ヴァランについて語る上で欠かせない彼の特徴はクリーンな守備をするということだ。
クリーンな守備というのは簡単に言うとファールをしないでボールを奪取するということ。
欧州のサッカーはフィジカルコンタクトが激しいサッカーではあるが、ヴァランは綺麗に相手からボールを奪い取る。
それこそ、彼が尊敬しており目標としている元フランス代表テュラムもそうだった。
ヴァランの守備は相手のちょっとしたタッチミスやコントロールミスを逃さず上手く突っついたり、ボールと相手の間に体を入れてノーファールでボールを奪取する。
相手がドリブルしていても無闇に飛び込むようなことはせず、しっかりボールだけを見て冷静に集中して対応しているのを見ると、守備対応の駆け引きがうまいのが分かる。
我らがレアル・マドリードの話をさせてもらうと、コンビを組むセルヒオ・ラモスとは正反対のタイプであることは間違いない。
というのも、相方のセルヒオ・ラモスはどちらかと言ったら激しく相手にチャージしてボールを奪い取るタイプだ。
ヴァランはプロデビューしてから何百試合も出場しているがイエローカードをもらった枚数は立ったの14枚。
優勝したロシアW杯でも0枚と、いかに彼がクリーンな守備をするディフェンダーかというのが分かるだろう。
対して相方のセルヒオ・ラモスはイエローカード163枚で、ラ・リーガでの通算警告数歴代1位、ラリーガ退場記録保持者、UEFAチャンピオンズリーグでも最多の警告数、バルセロナとのクラシコでは5回退場、とかなり荒い。
対象が極端にはなってしまうが、ヴァランの守備がいかにクリーンであるかはこれらの数字を見ても分かるのではないだろうか?
また、スーパープレーなどの動画を見ていてもヴァランの守備はペナルティエリア内でタックルを仕掛けたりスライディングをして奪い取るシーンが多い。
これは彼の中でも自分はファールをせずに守備ができるという自信もあるからだろう。
仮に相手が危険な位置まで侵入してきたとしてもファールをせずに上手く奪取できるヴァランのような選手がいるのは味方にとってもかなり心強い存在であることは間違いない。
それにしてもレアルのセンターバックコンビ…
ちょうどいいバランスってことにしておこう。
絶対的な空中戦の強さ
そしてヴァランは絶対的な空中戦の強さを持っていることも忘れてはならない。
正直、ヴァランが相手にいてロングボールを放り込む相手は壁を殴っているのと同じくらい意味がない。
実際、身長は191cmとかなり大きく身体能力も高いので、ヘディングでは「エアーマスター」と言ってもいいくらい支配している。
相手のロングボールだけでなくセットプレーでもかなりの存在感を発揮していて、守備時は相手ボールを跳ね返し、攻撃時は相手にとって脅威になっていることは間違いない。
ヴァランの元にボールが飛んでいけばほぼ確実に勝ってくれるので、周りの選手はセカンドボールを拾う事に集中するだけでいい。
空中戦の彼の守備に関してはもう何も言うことはない。
絶対に勝ってくれる。
そして攻撃の面で言うと、ヴァランはプロデビューしてから20点程ゴールを決めているのだが、それのほとんどがヘディングによる得点だ。
ロシアW杯準々決勝ではコーナーキックから貴重な先制ゴールを挙げるなど空中戦の強さをしっかり発揮しているヴァラン。
ディフェンスでその空中戦の強さを生かしているので何も文句はないのだが、レアルファンとしてはもう少し攻撃時に点を取って欲しいってのが正直な所。
セルヒオ・ラモスが異常に点を取るので比較されてしまうのはしょうがない事だとは思うが、これからは守備面だけでなく攻撃面の技術もラモスから盗んでヴァランがセットプレーから点をとってくれることを期待したい。
将来はヴァランがレアルを牽引する!?
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プロデビューをしてから運良く回ってきた出場機会をしっかり活かし今やレアルの鉄壁を構築しているラファエル・ヴァラン。
守備職人のような働きをするヴァランがセンターバックにいるだけでチームに安心をもたらしてくれる。
- 持ち前のスピードを生かして対人では絶対に負けない
- スピードと危機察知能力で広範囲をカバーリング
- 絶対的に支配する空中戦でことごとく相手の攻撃を弾き返す
- エリア内外でもボールを奪い切るクリーンな守備
そんな彼はまだ27歳だ。
これからまだまだ伸びる可能性は十分にある。
正直我らがレアル・マドリードとフランス代表はしばらくセンターバックには困らないと言っても過言ではない。
レアル・マドリードだけの話をすれば、セルヒオ・ラモスは闘志を前面に押し出して無駄なカードやファールをしてしまう反面、ヴァランは冷静沈着に相手の出方を見てノーファールでプレーをする。
ラモスは出場停止などの危険性があるがヴァランにはその心配は今のところない。
そう考えると怪我だけが心配だ。
ヴァランは191cmとフィジカルにも優れていると思われるが大きな怪我をする印象がある。
実質、レアル加入後も膝の怪我や筋肉系の怪我で長期離脱している。
これからもう1つ上のレベルのセンターバックになる為に、ラモスのような怪我をしない強靭なフィジカルを手に入れ、ラモスのようにセットプレーで点を取れるような選手になってくれたらヴァランはレアル史上でもかなり指折りの選手になれると確信している。
そして、レアルでずっとプレーしている古参として近い将来セルヒオ・ラモスからキャプテンマークを引き継ぎ、エル・ブランコの真のディフェンスリーダーとしてチームを引っ張っていって欲しい。